天声人語

何を隠そう(隠すつもりもないが)、私は「天声人語」が大嫌いであります。朝日新聞を批判するつもりは毛頭ありませんので、あくまで個人的な趣味としての好き嫌いなのですが、とにかく私はあの「天声人語」が大嫌いで、受験のときにも読んだことがありません。就職試験のときにも読みませんでした。ひところ、天声人語を読んで漢字を大量に覚えたとか、偏差値が上がったとか、そーゆー話しをよく聞いたのですが、そんな話しを聞きつつ、私はこれだけにはまったく見向きもしなかったものです。

ま、文章の趣味があわネーんだよ、と云ってしまえばそれまでなのですが、岩田先生の「思考としての感染症」にも同じことが書いてあってびっくりしました。これが名文とされているんだから救われようがねーなー、というのは、私もちょっと思います(ちょっとどころではなく思いますが)。ほとんどの回において、その内容は頭を使わない典型的な「昔はよかった」型の述懐にすぎず、当時、これを何度読んでも何かの参考になるとは思えなかったものです。漢字を覚えるのにはいいかもしれませんね。辞書を引いて単語を覚えるのもいいでしょう。それ以上のものを得たければ、読まないことです。

最近のニュースについても、似たような感想を持っています。特にマスコミは煽るだけで、内省的な自己批判をしなくなりましたね(昔からそんなものないかも)。いまマスコミにもっとも必要なもののひとつは、たぶん自己批判でしょう。天声人語にも内省的な思考は見られず、単なる事象に対するコメント以外の内容はないように感じます。思考停止というのは、これはもしかしたら日本全体が抱えている社会的な病理のひとつなのかもしれませんね。