電子カルテの導入に対して思うこと

電子カルテの導入を行う際には、まず、「カスタマイズするという選択肢を捨て去る」ことが大切だ。綺麗さっぱり捨ててしまって、既製品のパッケージに合わせて仕事をすると決めてしまう。そこから、「そもそもこの業務って。。。」と考え始める。

大切なのは「カスタマイズを撲滅させる」ことではなく、「そもそも論で業務を見直す」ことであり、カスタマイズの可能性を捨て去ることは、「そもそもこの業務って必要?」という議論を誘発するためのきっかけに過ぎない。そうしなければ、必ず(必ず!)、何も考えずに、いやむしろ何も考えないために、「過去のシステムで出来ていたことを新しいシステムでも再現しようとする」。システムで収集すれば一発で済むのに紙の申請書が残っていたり、二重に転記するワークフローが残っていたりするのは、これが理由である。そもそもその業務って必要?という見直しがされていないからだ。従って、一度はカスタマイズが出来る可能性をなくして、業務を見直す必要がある。

もうひとつは、部署単位の縦割りでシステムを議論すると、無駄が残りやすい。この場合は、「そもそもこの業務って必要?」という議論が出来ないためだ。「とりあえず従来の業務フローがこうなっているから、これからもこの業務は必要なことなんだろう(よく知らんけど)」みたいな状態である。この「よく知らんけど」と誰かが云いだしたら、要注意。そこに壁があって、向こう側が見えていないサインだからだ。このような状況に陥ると、下っ端だけではどうにもならず、部署の所属長どうしが認識をすりあわせる必要が出てくる。

従って、電子カルテの構築に、病院側には、いわゆるエンジニアは不要である。必要なのは、ベンダでもコンサルでもいい、「素人に対して提案が出来る高いスキルを有した導入担当者」と、「病院のワークフローを整理できるリーダー」であり、さらに加えて「病院の方針を決定できる優れた経営幹部」である。全員が「全体最適の観点から議論できる」ことが必要であり、これがすべてといってよい。