プロジェクトを素人にやらせますか?

プロジェクトを素人にやらせますか?

これはいろいろな答えがあると思う。Yes、もありえる。これはプロジェクトを通じて成長を期待しているとき、だろうか。No、もありえる。敢えて云えば、ど素人に家建てさせますか、といった感じだろうか。

おおむね「プロジェクト」なんて壮大な名前がついているからには、壮大な目標が打ち上げられているものである。医療者の身近にあって、かつ「失敗」しやすいプロジェクトと云えば、おそらく「システムの更新」じゃないだろうか。この医療関係におけるシステムの更新は、十全に成功したと胸を張って云える担当者は、なかなか珍しいのではないかと推測する。原因はいくつか考えられるが、おおむねふたつに集約される。

  1. 通常業務の片手間にやるので、時間がない
  2. ゴールに対するヴィジョンがない(=目標がない)

このふたつの欠如は、システム構築をやる上で、かなり致命的である。このふたつがそろったときに、担当者の心理には何が起こるだろうか。

 □ 時間がない、
かつ、
 □ システム構築によってあるべき姿を描けない、

ならば、

 → 現状の機能を新システムでも出来るようにするだけにとどまる

この流れは、ほぼ間違いなく起こる。従って、システムの更新をするなら、必ず目標を設定し、その目標に対して誰が責任を負うべきのか、明確にする必要がある。そして組織での取り組みなので、必ず通常業務とは別に時間を確保しなければならない。これは必要最低限の条件だ。

システム構築の主役はベンダではない。ベンダはあくまでも要件を実現させるためのプロであって、システムに何を望むのかを決めるのはエンドユーザである。いくらすばらしい腕をもったベンダでも、ゴミみたいな要望を入れたら、ゴミしか出て来ない。出来上がったゴミを片手に、あとからエンドユーザがぶつぶつ文句を云う構図は、もう終わりにしなければならないのに、いつまでたってもなくならない。

システムがごみになるのは、よほどのことがない限り、エンドユーザ側の責任であるといってもいい。ときおり、コストカットしすぎて、名も知れぬベンダにまかせてしまって、発注段階からゴミ製造をしているケースも見るけれども。