納得の血液培養陽性率

血液培養1セットのみの感度はだいたい65%。これはわりと有名な数字だと思います。知らない人は、「え、そんなに数字悪いの!?」というリアクションが帰ってくることが多いですが、そもそも菌がいるときに血液培養を実施したら必ず陽性になると思い込んでいる医師は却って驚きもしなかったりします。最近の文献では(新しい機器を使って)もうちょっといい数字が出ているみたいですが、こっちの方が説明しやすいので、説明にはいつも古い数字を使っています(苦笑)。

血液培養を2セット採取すると、そのどちらか一方が陽性になれば「血液培養陽性である」と定義したとき、その陽性率は、理論上、およそ84%になります。(1−4×4/100)ですね(1セット60%で計算しました)。同じように3セットを計算すると、93.6%になります。だいたい知られている数字に合致します。血液培養はそういうものだと丸暗記しているひともいますが(そして別に悪いことだとは思いませんが)、複数採取したら血液培養の陽性率が上がるというのは理論上当たり前のことだったりします。そーいうもんだもへったくれもないわけです。

先日、血液培養1セットを連日採取をすると、陽性率がやたら上がるというデータを拝見しました。納得できません。血液培養が実施されるような症例では、連日採取のケースで二回目以降の培養には抗菌薬の影響が免れません。そのため、一回目の陽性率は60%だとしても、二回目以降の陽性率は間違いなく60%を切るはずです。理論的に、連日採取の血液培養において、同日2セット採取よりも陽性率が高くなるはずがないと思います。抗菌薬を投与しないケースにおいても、同日2セット採取を上回るはずがないのです。

うーむ、これはどう解釈したらいいんだろう?悩んでいる時間は楽しいけど、あんまり悩んでいる時間もないんだよなあ。