シャッターアイランドを見たよ

夜勤明けですこぶる眠い……満足度は40%程度。煽りで興味を持たせて、じつは大したことがないという分、辛口感想です。

眠気覚ましになるかと思って見出したのですが、途中で耐えられなくなりました。驚愕のラスト、シックスセンスの衝撃、などとゆー、ある種「驚くぞ詐欺」に近い煽り文句に興味をそそられて見てみたんですが、数多ある同種の映画の平均値を越える印象はありませんでした。しかし、シックスセンス自体、そんなに大したオチじゃなかったぞ?あれこそ「こうなるぞ、こうなるぞ」と思いながら見ているとそのとおりに展開していくという、脱力系映画の極地だった気がする。その衝撃……と宣伝されてもなあ。

第一、密室消失系のトリックって、だいたい限られているんです。物理的に不可能なことが起きるんですから、それを可能にする解決策はそれほど多くない。精神病棟で起きる事件とくれば、まず第一に思いつくのが妄想、幻覚、最初から存在しないという叙述トリックでしょう。……これを叙述トリックに入れていいのかな、よくわかんないけど。

これはミステリが好きで、その分野を好んで数冊読んだことのあるミステリ読者ならまっさきに思いつくことのひとつです。個人的な感想では叙述トリックは本格ミステリとは云いがたいと思いますが、少なくとも現代の国産ミステリで新本格と称される分野のミステリではよく見られる(若干食傷気味の)タイプのトリックです。それを越えて、「この出来事は幻覚か、現実か?」という、主人公が現実と虚構の間を行ったり来たりしながら謎を解いていく(いったんは自分が幻覚を見ていることを納得しそうになるけど、じつはすべて現実の出来事で、密室消失には驚愕の真相が!)という展開を期待していたので、拍子抜けもいいところでした。わりと安直な作りをしています。

推理物としては、ほとんど面白みが感じられないのはイタイです。じゃあストーリィ物としてみたらどうかと云われると……うーん、全体の構成も間延びしとるなあ、という印象ですね。二時間はちと長い。もう15分は削れたのではないかと思ってしまう。全体的に見て、いまいちでした。伏線はいろいろあるんですが、伏線をすべて見つけて回収して、ああ、なるほど、あそこはそういうことだったのか!という喜びはいまいち感じられません。だって、オチがしょうもないんだもの。

というわけで、がっかり感の強い、残念な映画なのでした。これ、宣伝の仕方が悪いよ、きっと。