お金と時間と

最近、システムがらみの打ち合わせが増えた。

いわゆる「IT」のことがよくわからないひとを相手に、システムの打ち合わせをするのは骨が折れる。とくに業界特有の「常識」がやっかいだ。これはできて当たり前、という思い込みが、ヒアリングの漏れにつながることが多い。ユーザにとっては、いつもやっていることは、どれだけ特殊なことであったとしても、「いつもやっていること」に過ぎない。したがって、できて当たり前のことなので、大事なことだとは気づかない。

対応に困るのがカスタマイズ要望だ。だいたい希望を聞いていくと、パッケージに合わない部分が出てくる。そこをどうするのかは、かなり悩ましい話で、要件次第ではあるが、取捨選別は必ずしなければならない。曖昧な判断は許されず、なんかしらの根拠をもって対応しないといけないものだ。

課題の切り口のひとつに、「コストパフォーマンス」がある。
コスパを評価するときに大切なのが、課題が発生する「頻度」と、処理に要する「所要時間」である。したがって、ヒアリングの時には漏らさずこれを聞くことになる。カスタマイズの要望はたいていコスパに見合わず、個別に対応すると割りに合わないことが多い。そのため、どこかで切り捨てることになる。

よく云うのが、「システムって、たいていのことはできるんですよ。お金と時間が十分あれば」である。さいきんこれに、「愛と勇気」を加えることが増えた。たいていウケるのだが、冗談を云っているつもりはまったくない。

「システムってたいていのことはできちゃうんですよ。お金と時間が十分あれば。あとは、愛と勇気ですね」

お金と時間が十分あっても、残念ながら、愛と勇気がなくて頓挫するケースもある。むしろ、愛と勇気はお金よりも大事かもしれない。そのことを理解してもらうのは、かなり難しい。