RPAの怪

正直、即刻RPAをやめないと、これから先ずっと生産性は上がらないのではないか、もしかしたら破滅の時を先延ばしにしているだけなんじゃないか、という、危機感がある。

日本でこれだけRPAがもてはやされる理由はもはや明確で、つまり「日本人には改革などできない」のである。制度を変えることができるだけのリーダーシップを発揮することができるリーダーが、ごくごくわずかしかいない。だから旧態依然の制度のまま、旧態依然の仕事を訥々と繰り返す、それが「仕事」になっている。その仕事を、RPAで無理やり「自動化」する。属人化し、複雑怪奇になった仕事を、わざわざブラックボックスの中に叩き込む。数年後、どうなるかは、火を見るより明らかだ。制度を変えることもできず、もはや人の手で処理することもできなくなった「仕事」は、RPAにやらせるしかなくなり、RPAに仕事を合わせるために複雑怪奇な仕事をさらに複雑にする。そして、それが「仕事」になる。

つまり、仕事をすることができる人材が異様に少ないのだ。現状、RPAはただのごまかしに過ぎない。
これから先、日本が「ものづくり」で復権を果たすことはおそらくない。ものづくりのカイゼンは日本の得意技だったが、同じ様式をITにもちこんだのは大きな過ちだったと云えるし、組織を変革することに、現状、成功できている事例は少ない。いったんRPAから離れて、根本的に制度を作り変えるスキルを身につけなければ、いまに大変なことになるだろう。