RPAについて

かなり暴論であることを先にお断りしておく。

RPAのブラックボックス化は、委託した業務がブラックボックス化するのと、構造的に何も変わらない。委託と役割分担は、結果はいっしょでも、ニュアンスがまったく異なる。委託先に預けた業務を、「委託先が処理しているので私にはわかりません」と臆面もなく云えてしまう組織は要注意だ。それは委託ではなく、丸投げだ。

日本のIT業界は丸投げが成立しやすい多重下請け構造を「なかば常識として」持っているが、私にはこれがずっと理解できなかった。IT業界だけではなく、外注と称して、めんどくさい部分を切り離し、丸投げする風潮が全体に浸透しつつある。問題は、切り離す基準だ。たとえば、グループ会社の給与計算を統一し、本社業務から切り離して集約、一元化する、という思想でもあれば、まだ問題は少ないように思うが、RPAに関して云えば、その導入は「どうも俺たちにも魔法の杖が手に入るみたいだから、いっちょ振ってみるか」程度のことでしかない。RPAの導入ベンダも、「私たち、コンサルティングできませんので」と平然と云ってのける。「売り切り」だ。物を売るのと大して変わらない感覚でRPAを売っている。バカ以外の何者でもない。

これこのまんまじゃ、まずいんじゃないの、と思う。RPAの対象は「時間がかかる」「複雑」「標準的」な業務だと云われるが、そもそも日本のシステムは標準的なパッケージを嫌って(エンジニアが)死ぬほどカスタマイズを入れている、属人的(?)業務が主流である。標準なんてどこにあるの?そこをRPAでさらにブラックボックス化するわけで、「委託しているので知りません」マインドの日本人がRPAなんてつかいこなせるわけねーじゃん、と思うのは自然なことだと思っている。つまり、このまんまだと、スパゲッティみたいになったコードのように、数年後に怨嗟の悲鳴が上がってくるに違いない。

南無三。