人工知能は職を奪うか?

いろんな意見があるだろうが、結果として「職は奪われる」かもしれない。

そもそも労働人口が減少しているため、「社会が必要としている労働量」が変わらず、「労働人口は減少する」なら、「労働人口単位の生産性を上げる」しか対応する方法はない。そこに「労働人口を補う」という方向性で持ち込まれるのが、AIやRPAといった、いわゆるソフトウェア型ロボットである。RPAは典型的なソフトウェア型ロボットで、単純作業をもくもくとこなす、きわめて優秀な単純作業従事者だ。労働者はこのRPAを道具として使いこなし、労働者自身の生産性をあげる。結果、少ない労働人口で、現在の社会を維持することができる。

問題は、いままで単純作業に従事していたひとたちは、それ以外の作業に従事できない可能性が高い、という点だ。極端な例を挙げると、駅の改札で切符をきりまくっていた駅員さんは、自動改札機が導入されて職を奪われた。身近な例でいけば、経理課で、メールに添付されている見積書の情報をもとに、発注系のシステムに情報を転記、発注をし、発注情報を別の台帳に転記して、台帳を管理する、という仕事を1日に何十件を繰り返している担当者は、RPAによって仕事を奪われる可能性が高い(いまの市販製品でおおむね可能だ)。この担当者は、別の仕事に従事することになるが、この担当者のスキルセットで担当できる仕事が部内に「ない」場合、この担当者は職がないことになってしまうだろう。

個々人のスキルセットが単一で潰しが利かない場合、このような事態に陥りやすいとも云える。会社の事業とほぼ同じようにも思える(だからたいていの場合多角経営に走るわけだが)。労働人口が減少すれば、個々人に求められるスキルは、必然的に複雑化し、かつ高い水準を求められることになるだろう。教育を見直す必要があるのではないかと思われる。

人工知能が職を奪うかと云われれば、おそらくYes。人工知能の発達スピードに、「人間社会と個人のあり方に関するありとあらゆる変化」が追いつかないからである。つまり、人間次第、とも云える。