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熱傷創の細菌検査

熱傷患者に予防的抗菌薬の投与は推奨されない。理由は三つ。

  1. 有効である証拠はなく、有害事象の報告がある(より耐性の菌交代を誘発する)
  2. 発熱・CRP上昇は常に見られるが、感染ではない(熱傷創自体によるものである)
  3. 培養陽性=治療ではない(定着菌が存在する)

予防的抗菌薬については、過去P.aeruginosaやMRSAなどを予防すべく使用された時期があり、いずれも効果を上げることができなかった。3rdセフェムの投与はMRSAの感染率を上げるだけに終わり、これらの菌の感染は個室隔離と接触予防策を積極的に行うことではじめて減少したという経緯がある。熱傷患者は皮膚バリアが破綻しており、各種免疫機構も破綻しているため、感染を来しやすい状態にあることは間違いないが、予防的抗菌薬投与が患者の予後を改善するという積極的な証拠はいまのところない。

免疫機構の破綻は、熱傷創由来の感染も引き起こすが、遠隔部からの感染を誘発することがあり、この点で熱傷の培養を定期的に行う監視培養の効果には疑問が残る。感染を来した熱傷創に気づくためには、「変化」に注意を払うことが重要である。色調の変化や創部周辺の正常組織に紅斑が生じる、浸出液や匂いの変化は、感染を示唆する初見である。

前述の通り、免疫が破綻していることから、感染を来した場合、容易に全身感染に進展する。そのため、血液培養の採取は必須である。感染部位が明確である場合、膿を認める場合等は、スワブで拭うのではなく、シリンジでそれそのものを吸引するなどし、培養すべきである。スワブは定着菌を拾いやすく、可能な限り避ける。

破傷風のワクチンは有効であるため、積極的に考慮するほうがよい。