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放置される教育・続き

私は比較的、「放置されているな」と思われる研修医に接する機会が多かった。なぜなら、抗菌薬の投与方法について、私を名指しで聞いてくる医師が多かったためだ。

別に抗菌薬の投与について、私がきわめて優秀なわけではない。それだけ、誰にも聞けずに困っているということだ。困っていて、仕方がないので、まだ関係がありそうで、しかも答えてくれそうな部署にSOSの電話を出しているに過ぎない。面白い事に、ここで、聞いてくる医師の考え方が如実に現れる。

私が、「ほんとに困っているんだなあ、ツラそうだなぁ」と感じる医師は、「自分はこう思うんだけど、どうでしょうか」と聞いてくるタイプの医師だ。「こいつは何も考えてないな」、と感じる医師は、脊椎反射で「何を使ったらいいですか」と聞いてくる医師だ。たぶん、将来現れる実力に、大きな差が生じるだろう。……まあ、感染症に興味がないだけかもしれないけれども。

一番始末が悪いのは、「自分は放置されてきたが、独学で頑張った(だからいま正しく出来ている)」と信じている医師で、他人の意見を受け入れない頑固なタイプだ。いままで接してきたなかで、このタイプは奇妙な信仰心が醸造されているケースが多かった。すなわち、「俺は独学で頑張った。だから放置される状況も悪くない」と信じているタイプだ。このタイプが、「放置される状況」に寛容で、かつ文句ばかりぶつぶつ云っているように観察される。

放置する教育はまやかしである。「指導医」なんだから、ちゃんと仕事しろよ、っていつも思う。