糖質制限に関するあれこれ

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糖質制限ダイエットによる副作用が多くなってきているのだという。

個人的には、糖質制限はすべてのヒトが必要に応じてちょっとずつ行うべきだと考えている。現代人は炭水化物を摂取しすぎているのだ。

この記事で紹介されている「糖質制限ダイエット」で筋力が低下するケースは、間違いなくダイエットを「やりすぎた」ケースである。これは糖質制限が原因ではなく、過剰なダイエットが原因で、たとえば拒食症にもとうぜんながら見られるケースだ。ヒトの体は血中に糖分が少なくなれば、最終的には筋肉を分解して糖分を生成しようとするが、まず最初にすることは肝臓等に蓄えられたグリコーゲンを分解することだからだ。これはグリコーゲンが分解しやすく、ただちにエネルギーに変換することが出来る物質だからで、ヒトの体は「血中糖分が減ってきた」→「まずい、エネルギーがなくなってきた、とりあえず蓄えを切り崩してエネルギーを作ろう!」→「すぐに取り出せる物質はどこだ!?」→「グリコーゲンだ!」となるからだ。緊急事態だから、まず変換しやすいグリコーゲンを切り崩すのである。

ただし、このグリコーゲンはそれほど蓄えがない。次に切り崩されるのは、筋肉ではなく、「脂肪」である。脂肪は最終的に過剰な血中糖分を蓄えやすく変換したものであり、食べた脂身がそのまま蓄えられたものでは「ない」。グリコーゲンまで枯渇した場合、ヒトは脂肪を分解してエネルギーを取り出そうとする。もともと脂肪はそのためのものなのだが、この分解速度は緩慢で、とても緊急事態には対応できず、最終的に血糖の供給が間に合わずに著しい低血糖に陥った状態を「ハンガーノック」という。こうなると、本当に体が動かなくなり、頭もまともに動かなくなる(何回かなったことがある)。

普通にしてれば、ここまで低血糖になることはまずない。脂肪もなくなり、取り出すべき糖分が体内に見当たらなくなった時、ヒトは初めて筋肉を分解し始める。筋肉を分解するのは、本当に「最終手段」なのである。正直なところ、現代の日本で、まともなリズムで生活していて、筋肉まで分解しなければならない低血糖に陥ることはまずありえない。著しい飢餓状態に陥った場合にしか筋肉分解は起こらないのである。

つまり、糖質制限で筋力低下が起こるというより、ダイエットのし過ぎで筋力低下が起こっているのである。理論上、糖質制限が筋肉分解を起こしやすいのは間違いないが、現実にはほとんどありえない。脂肪をすっからかんにして、なお「ダイエット」を続けるから、筋力低下が起こるのである。

脂肪がなくなったら、ダイエットする必要なくなーい?
ちなみに、上記記事は、意図的かどうかは知らないが、脂肪分解の過程をすっとばしていきなり筋力低下の解説をしている。脂肪を減らしたくてダイエットをしているのに、糖質制限ダイエットではどうやら脂肪の分解はなかったことになっているらしい。不思議なものだ。