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BRM822 宗谷岬600 その1

私はブルベという競技……ではないな、イベントが大好きだ。大好きだから、何回か参加している。自転車でそんな長距離を走るなんておかしい、何が楽しいんだとよく云われるが(面と向かって云われたことがある)、私自身、何が楽しいのか、うまく説明できないのが困ったところである。メジャなブルベには以下のカテゴリが知られており、走者はランドヌールと呼ばれ、所定のルールに則り規定の距離を走破することで、認定が得られる。

  • 200km:13.5時間
  • 300km:20時間
  • 400km:27時間
  • 600km:40時間
  • 1000km:75時間
  • 1200km:90時間
  • 1400km:116時間40分

今回、私が出走したのは600カテゴリ。制限時間は40時間、つまり1日と16時間である。この時間をやりくりして、自分の能力の範囲内で完走を目指すのである。どこで補給して、どこで仮眠をとって、どんなペースで走るのか、すべて走者の自由だ。やってはいけないのは、大きく3つ。PC(Point de control:チェックポイントの意)以外で走者以外の関係者の予定されたサポートを受けること、コースを省略すること、制限時間を超過すること。PCであればサポートを受けるのは自由だし、PC以外であっても、たとえばホテルを予約して宿泊するのはOKだ。走者どうしで助け合うのは問題ない。コースを外れてもよいが、外れたところから復帰しなければならない。PCごとに制限時間が設定されており、ベースは15km/hで設定される。従って、600kmであれば40時間だ。この場合、さすがに40時間を走り続けることは出来ないので、仮眠をとる時間も勘案しなければならない。

私の走行計画はおおざっぱには以下の通りであった。
ちなみに、スタートは8:00である。

  • PC1(約90km地点)・・・12:30着くらい
  • PC2(約160km地点)・・・16:00着くらい
  • PC3(約240km地点)・・・20:00着くらい



要するに、全編にわたって時速20km/hを最低ラインで設定し、25km/hくらいで走るつもりだった。信号がある場合、ひっかかる回数にもよるが、25km/hで走ると、おおむね全体で17km/hくらいに落ち着くことが多い。このコースには、ほとんど信号がないため、25km/hで走れば、純粋に25km/hになるはずだった。とうぜんアップダウンで少し落ちるが、それでも22km/hは維持できる算段だった。

結論から云えば、甘かった。まあ、天候も含んでブルベなのだから、こういうこともあるにはあるだろう。せっかく天気がよかったのに、とてももったいないことである。

原因は、「風」だ。向かい風だったのだ。

いつもなら30km/hくらいの出力で、25km/hでない。いつもなら25km/hくらいの出力で、20km/h弱くらいしか出ない。しかもたまに向かい風になるのではない、ずっと向かい風なのだ。一日中向かい風だったから、まあ条件はみんな同じである。すべての参加者がこの向かい風の洗礼を受けた。

100kmくらいから、膝に違和感を感じ始めた。気のせいかもしれないので無視して走っていたら、140km地点でもう明確に痛みを感じるようになっていた。左膝だ。これはかなり不味いのでは……と本気で考え始めたのが、ちょうどその140km地点だ。すぐそばに道の駅があったので、そこに逃げ込んだ。

何が不味いって、この周辺、「逃げる」手段がひとっつもないのである。