何かを仕上げることと、バランスの問題

何かを作るとき、そこにかける労力と仕上がりのバランスにはいつも悩む。

際限なく労力をつぎ込むと、それなりに仕上がりはよくなるが、自分の時間を犠牲にすることになり、ワークライフバランスは崩れる。それでも構わない、俺はこれに命をかけている、というなら別にそれでも構わないが、多くの場合はそうではない。とくに仕事で「作る」ことを求められたとき、仕事としての仕上がりをどこに持ってくるのか、いつも悩む。

素早く、そこそこのものを作成する能力は、生きていく上で必要だ。つねに完璧に仕上げないと気が済まないというひともいるが、ほとんどのケースで、そういう働き方は成り立たない。仕事をする上で、完璧主義者があまり歓迎されないのは、その働き方に無理があるからだ。基本的には、そこそこのものを、そこそこに仕上げて稼働させることが求められる。

働く上で、more betterであることが大事だが、bestは不要である。more betterに足りないところがあれば、次にmore betterであればよい。周囲を観察していて、たぶん無意識にそう思っているひとは、強いように思える。bestでなければ満足できない人は、そもそも試行錯誤もしていないように思う。あるべき理想に向かって邁進している姿は日本人の好きなスタイルだが、ともすれば美しいと形容されそうなそのスタイルは、じつはとても病的なものではないかと感じている。

ゴールは動かさない。動かないゴールにどうやって素早く、効率的にたどり着くのか、それを突き詰めて試行錯誤を行う。その成果が、次に生きる。次はそのスピードで、無理をすることなく、よりbetterなゴールを目指せる。働き方として、そっちの方が健全だろう。