組織は前例主義から抜け出せない

ある程度の規模になれば、前例主義に囚われるのは必然とも云える。必要悪といってもいいかもしれない。

船頭多くして船山に登る、とはよく云ったもので、よほどしっかり意思統一していなければ、どのような組織もいずれはそのような状態に陥るだろう。それを避けるための前例主義とも云える。つまり、船頭たちの船頭だ。過去の成功事例を参考に、おおまかな方向性を定め、そこに向かって着実に歩いていく。船頭たちがめいめい好き勝手に動いていては、組織として体をなさなくなってしまう。

行政組織に前例主義が多いのは、対外的な整合性を保つためである。あのときはああして、このときはこうして、と対応していれば、あっという間に組織としての体をなさなくなるだろう。日本という国は極東の島国のひとつに過ぎないが、ひとりの人間が認識するには巨大すぎる。だから、必然的に前例を踏襲した対応が前提になってくるのだ。行政に前例主義がはびこっているという非難は、ある意味的外れであると云えるだろう。必要悪とも云える。

ただし、改善するための変更に対して極端に腰が思いというのは、これとはまったく別の問題であり、困った部分であるとは云えるのだが。