D-zone test

S.aureus、もしくはS.lugdunensisのクリンダマイシンの誘導耐性(inducible Clindamycin Resistance)を検出するための試験である。平板寒天培地を用いたD^zone testはきわめて簡便であり、CLSIでは、EM耐性・CLDM感受性(もしくは中間)パターンを見たときには実施することが推奨されている。CLDMを長期使用するような感染症(慢性骨髄炎等)が想定される場合は必須の試験と云ってもいい。

  • D-zone test
    1. 使用培地
      • MHA、blood agar purity plate used with MIC tests
    2. 使用するディスク
      • 15μg EMディスク、2μg CLDMディスクを、15-26mm離して設置する
    3. 培養環境
      • 好気的に、35±2℃、16-18時間培養する
    4. 判定
      • 陽性であれば、隣り合ったEMの阻止円とCLDMの阻止円が干渉し、CLDMの阻止円が「D」の字に歪む。これがD-zone testの由来である。Dが観察できれば、CLDMの誘導耐性が認められると判断できるため、MIC値の如何に関わらず、CLDMは耐性と報告する。
      • CLDMの形成する阻止円のなかに、はっきりとしない発育を認めることがある。これは、たとえD-zoneの形成を認めない場合であっても陽性である


自動分析機Phoenix100(Beckton Dickinson)で使用するパネルの中には、希釈法のD-test専用ウェルをもち、自動でD-zoneを実施してくれるものもある。いちいち追加試験をしなくてもいいので便利である。
まあ、わざわざD-zone testのためにもう一日費やすのも、馬鹿らしいと云えば馬鹿らしい。当院では、40例くらい昔の株を起こして実験したところ、きわめて高率にD-zone test陽性株が見られ、条件にあてはまるすべてのCLDMの結果を抜いて報告していた時期があった。特殊な理由がないかぎり、S.aureusに積極的にCLDMを使うこともないと思われるため、主治医とのコミュニケーションが大事かもしれない。