感染防止対策加算について(続編)

迷える子羊がいっぱいいます。かくいう私も迷える子羊ですが。

もともとそれほどアクセスのないブログですが、アクセスログを見るかぎり、一日だいたい100アクセスくらいのようです。そのほとんどが感染防止対策加算に関係するキィワードで飛んでくるようで、それっくらいみんな戸惑っているということなのでしょうね(ときどき「ミニベロの魅力とは」みたいな素敵なワードも見ます)。

感染対策チームとは、みたいなキィワードで飛んでくる人もいるようです。おそらく、中小規模の病院でそれまで感染対策等ほとんどなされていなかったのに、上から「ICT作れ。おまえが責任者な」とかゆー、シャレにならない事態に陥っているひとなのではないかと思われます。おそらくそうやって専門外の仕事を抱え込んだ「責任者」が日本中にいるのではないかと推測します(邪推します)。

とにかく、感染防止対策加算、見た目は「おいしい」のです。じつはそれほどおいしくもないのですが(計算してみるとわかるが、いままで感染対策に費やしてきた費用の一部がペイバックされるだけ)、感染対策の「か」の字もやってなかったところが算定できれば、そりゃおいしいと思います。算定内容は、それほど甘い内容でもないんですケドね。

ICTの業務内容は多岐にわたります。語りたい人に語らせたらそれぞれの意見が出てくるところですが、まあ事務的に「算定のためのICTの仕事とは」で考えてみましょう。

厚生労働省保険局医療課長.
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について.
保医発0305第1号.平成24年3月5日.2012
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/2-28.pdf(通知全文)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/2-25.pdf(別添1)

に根拠文書があります。

内容は以下の通り。

ア.
感染制御チームは、1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うとともに、院内感染防止対策の把握・指導を行う。また、院内感染事例、院内感染の発生率に関するサーベイランス等の情報を分析、評価し、効率的な感染対策に役立てる。
院内感染の増加が確認された場合には病棟ラウンドの所見及びサーベイランスデータ等を基に改善策を講じる。巡回、院内感染に関する情報を記録に残す。
イ.
感染防止対策チームは微生物学的検査を適宜利用し、抗菌薬の適正使用を推進する。バンコマイシン等の抗MRSA薬及び広域抗菌薬等の使用に際して届出制等をとり、投与量、投与期間の把握を行い、臨床上問題となると判断した場合には、投与方法の適正化をはかる
ウ.
感染制御チームは院内感染対策を目的とした職員の研修を行う。また院内感染に関するマニュアルを作成し、職員がそのマニュアルを遵守していることを巡回時に確認する。

あー、ラウンドかあ。やれるかなー。あははー、けっこう時間取れないよねー(棒読み)。
あー、サーベイランスかあ。やってるけど、仕事が地味すぎて誰にも苦労を理解されないのよねー。あんまりにも苦労内容が技師長に理解されないので、嫌気がさしてきたなー。

つまり、要約すると

  1. ICTラウンドは必須。感染対策について、指導的な実力を有するリーダの存在が不可欠。
  2. 週報の作成が(おそらく)必須。これは他のところにも書いてあるので、週報作ってなかったら、おそらく切られる。体制的にはどうかわからないが、実務的には月報であるJANISサーベイでは明らかに不十分(ってか役に立たねえ)。
    • 2DCMマップは役に立つかも。しかし、あれを使いこなせる人がいるのだろうか……
  3. 適正使用に関する取り組みが必須。届け出、許可制を取ってない病院は軒並み切られる可能性高。適正使用のための記録が残ってないと、切られる可能性あり。
  4. 年二回の研修会必須。これも記録が残ってないと切られる可能性高。
  5. とにかくラウンド。そしてラウンドを実施したという記録を残す。文言にあるサーベイランスデータという「サーベイランスの具体的な中身」についてはよくわからない。まさかターゲットサーベイランスのことだったりしないよねえ?(怖いな)

ってところでしょうか?まあ、私の思い過ごしと云うか、間違っている可能性も充分にあるので、話半分に読んでくださいまし。

ただ、このICTの業務内容について、要件を満たせない病院は切られる可能性があるということを念頭に置いた方がベターでしょう。