新設された感染防止対策加算について

資料についてはここ

このエントリは、久しぶりに文章を書く私が個人で行った推測と調べた結果、覚え書きチックに物したものです。信じ込んでしまわないように!

というわけで。
もう知っているひとはとうの昔に知っている、「感染防止対策加算」の話です。院内感染防止対策について、いままでは医療安全の観点から算定されていましたが、それを改め、「感染対策」という体系で診療報酬を算定するという、ある種画期的な内容になっています(画期的なんじゃないかと思うんだけどね、個人的には)。

感染防止対策加算1

  1. 専任の院内感染管理者が配置されており、感染防止に係る部門を設置していること。
  2. 感染症対策に3年以上の経験を有する専任の常勤医師、5年以上感染管理に従事した経験を有し、感染管理に係る適切な研修を終了した専任の看護師(医師又は看護師のうち1名は専従)、3年以上の病院勤務経験を持つ感染防止対策にかかわる専任の薬剤師、3年以上の病院勤務経験を持つ専任の臨床検査技師からなる感染防止対策チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこと。
  3. 年4回以上、感染防止対策加算2を算定する医療機関と合同の感染防止対策に関する取組を話し合うカンファレンスを開催していること。
  4. 感染防止対策加算2を算定する医療機関から感染防止対策に関する相談を適宜受け付けること。

感染防止対策加算2

  1. 一般病床の病床数が300床未満の医療機関であること。
  2. 専任の院内感染管理者が配置されており、感染防止に係る部門を設置していること。
  3. 感染症対策に3年以上の経験を有する専任の常勤医師、5年以上感染管理に従事した経験を有する専任の看護師(医師、看護師とも専任で差し支えない)、3年以上の病院勤務経験を持つ感染防止対策にかかわる専任の薬剤師、3年以上の病院勤務経験を持つ専任の臨床検査技師からなる感染防止対策チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこと。
  4. 年に4回以上、感染防止対策加算1を算定する医療機関が開催する感染防止対策に関するカンファレンスに参加していること。

いままでこういう文章とは付き合いのなかったものの身になって欲しいものだが、「専従」と「専任」の定義をはっきりさせて欲しいなといつも思う。「専従」とは、調べたかぎりでは「業務の100%それに関わって仕事していること」(=つまり兼務不可)と考えられているようです。一方で、「専任」とは「その業務に半分以上関わっていること」(=つまり兼務も半分以上という条件付きだがOK)と解釈されているようで、「専ら」の定義はよくわかりません(苦笑)。まあ、おそらく「専任」という意味なのでしょう。

それと、「感染管理に係る適切な研修を終了した専任の看護師」ってのも曖昧だね?いつも思うんだけど、後付けで解釈通知を出さないと機能しない文章作って何が面白いんでしょう?

さて、と。
要するに、地域の感染防止対策加算1を算定する施設というのは、地域医療における中核を担う施設、という位置づけなのでしょう。つまり、1を算定する施設が地域の感染対策のリーダーとしての役割を担うことを求められていると解釈してもいいのではないでしょうか。

この要件は、たとえば近くに大学病院がある地域は、かなり楽かもしれません。必然的に、大学病院ってのは地域のリーダであるべきで、ほっといても自覚的に大学病院が1を算定し、カンファレンスをやってくれるでしょう。この1を算定するためには、指導的な立場の人間が必要です。困っちゃうのは、300以上の病床数をもっていて、かつ感染対策に関して指導的な人材がいない施設、です。細菌検査室を持たない施設でも要件は満たすでしょうけど、実際的には不可能でしょう。いま現在の加算は廃止されますので、「ウチ無理ぽ_| ̄|○」という施設が出てくるのではないかと想像します。中規模病院に優しくない改訂のような気がしますが、どうなんでしょうね?

いや、どう考えてもウチのことなんですがががが!

いや、これ、どう考えても無理っしょ?年四回のカンファレンスて。誰がやると思ってんだよ?感染防止対策加算1を取れない300床以上施設って、いままで取れていた加算もなくなる可能性なくね?ウチみたいな根性ない施設はさ、要するにいままで取れていた加算もなくなるけど、いままで以上に頑張ってね、って死刑宣告じゃね?Σ(´д`;=;´д`)!?

というわけで、ざっと読んで生じた懸念を覚え書きで書いてみました。これ、みんなどういう風に受け止めて、どういう風に考えているんだろう?