CPZ/SBTの謎(まとめ)

twitter上で繰り広げられた、薬剤師さんたちとの会話のまとめ。

ことの発端は、何気なくつぶやいた

さいきん、ようやくCPZ/SBTにSBTがひっついている、おそらく正しいであろう理由が理解できた。というか、いままで知らなかったのかという感じでわりと恥ずかしい。いままでほとんど独学でいろいろやってきたけど、しょっちゅう抜けている知識が見つかってわりと凹む。

というつぶやき。私はこのとき、SBTとCVAとTAZの違いについて調べており、

阻害剤名称 class A class B class C class D
CVA    
SBT    
TAZ    
ボロン酸      
EDTA      

という、いちおうの結論を得て納得していた。つまり、セファロスポリンでありクラスAペニシリナーゼにほとんど影響を受けないはずのCPZに、βラクタマーゼ阻害剤がくっつけられている理由を、

SBTはCVAと違って理論上classCβラクタマーゼを阻害できる。P.aeruginosaなどの天然classC持ちの菌に対して、いちおうclassC阻害も可能であるSBTを添加することで、CPZの薬効を担保している

と理解しました。

それに対して、薬剤師さんがすぐさま

実際CPZはクラスCで分解されるのか?
CAZは?

という疑問を呈していただきました。CAZの謎はもっともです。私もこれは不思議に思いました。ここで疑問の内容は、CAZとCPZの違い、に移ります。

結論から云ってしまうと、

CPZには側鎖に第三世代以降にセファロスポリナーゼ耐性を付与してるオキシイミノ基がない。


という部分に薬剤師さんが気がつき、オキシイミノ基の有無がこのふたつの違いなのではないか、という結論に至りました。オキシイミノ基をもたないCPZは、セファロスポリナーゼに対して抵抗できず、それを補うためにSBTが添加されているのではないか、ということです。私だけでは、絶対にこの結論にはたどり着きませんね。オキシイミノ基はCAZなどの第三世代セフェム以降にくっついていますが、これがセファロスポリナーゼに対する安定性をもたらしているようです。

この側鎖は、モノバクタムであるAZTにもくっついており、「CAZにアレルギーがあるひとはAZT要注意」と云われる原因になっています。実際にAZTはセファロスポリナーゼに対して比較的安定で、なんと阻害剤としても働くようです(まだ確実な裏取ってないですけど)。

この他にも面白い疑問がいくつか出てきましたので、またぼちぼち調べて行きたいと思います。ビバ、勉強!