畑に青酸カリがまかれた(武○邦彦氏の間違い列伝)

というわけで、おそらくちゃらんぽらんな代物、武○邦彦氏のセシウム137に対するビミョーな勘違いについて。

まず最初にセシウム自体の傾向致死量は塩化カリウム、塩化ナトリウムとほぼ同じであるとされる。体重1kgあたり2.3gだ。塩化ナトリウムは、云わずと知れた塩である。強烈な化学反応性をもつセシウムさんだが、従って放射性でないセシウム単体ではほとんど問題にはならない。ナトリウムと同じである(反応性はやや劣るものの、ナトリウムの金属塊もセシウムと同じような強烈な反応性をもち、水の中に突っ込むと爆発する)。

同氏は9月4日の「たかじんのそこまで言って委員会」にて、「畑に青酸カリがまかれたようなもの」とご発言なされたようだ。そして、一関市長から抗議のメールを受け取り、ブログにてその根拠をこのように説明している。いわく、「放射性セシウム137の{成人、経口}での50%致死量は0.1ミリグラム程度」という。0.1mgだ。誤記ではない。放射性物質による人体への影響を軽視しているつもりはないが、あまりにあまりな言い草ではないか?フツー、納得できるか?同氏は半数致死量LD50が、0.1mgだという。当たり前の前提として、青酸カリを引き合いに出すくらいだから、急性放射性障害で死ぬと値が0.1mgだと考えていいだろう。というか、そう思わせたいから青酸カリを出してきたのだろう。そういう前提があるものとして考える。もちろんLD50は、投与した動物の半数が急性毒性によって死に至る投与量だ。ここ忘れない。

さて。
結論から云って、この武○邦彦氏の説明はめちゃくちゃである。詳しくはここがもっとも文章量が少なく、理解できる。簡単に云ってしまえば、「急性被爆で50%が死に至る線量」はたしかに4Svだとされる。しかし、武○氏が計算したデータは、預託実効線量なのである。「50年の積算」なのだ。なんとマイルドな青酸カリだろう!預託実効線量は単に実効線量と略されることがあり、勘違いしたのか意図的に解釈したのかは知らないが、学者としてはきわめて悪質な間違いである。ちっとも正確ではない。

従って、武○邦彦氏のこの発言は科学的に誤っている、といって差し支えない。まるでむちゃくちゃだ。そりゃ、云われた方は怒るだろう。同氏は自身の著作のなかでも似たような誤用、勘違いを繰り返しており、私の中では信用するのに躊躇する科学者という位置づけになっている。

自身のサイトで、「事実だから発言の取り消しはしない」旨、宣言しておられるが、事実ではない。だから、取り消した方がよいと思われる。

こーいうひとは、音声データを残すべきではない。綸言汗のごとし。あとから修正できないからね(苦笑)