基準値の怪

元ネタはここ

 文部科学省は7日、午後5時までの24時間に、神奈川を除く関東の1都5県と福島、宮城両県で大気中の放射線量が平常値を上回ったと発表した。いずれも緩やかな減少か横ばいの傾向が続いており、同省は「健康上の問題はない」としている。
 また、沖縄県南城市で6日午前9時までの24時間に採取されたほこりや雨から、1平方メートル当たり4.8ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されたことが判明した。放射性物質はこれまで中部地方から九州までの複数県で確認されていたが、沖縄は初めて。(2011/04/07-22:37)

基準値 ≠ 正常値であることは、検査の世界では常識である。検査の世界では「基準値」とは健常者の95%がとる値の範囲のことであり、それ以上でもそれ以下でもない。私たちはCKの結果が基準値を少しだけ上回ったからと云って過度に気にしたりはしないし、下回ったからといってやっぱり気にはしない。(CRPの上下動に一喜一憂するひとはいるけどネ)

日本全国の微量放射能を測定することに意味があるのだろうか。いや、測定しなかったらしなかったで隠蔽だなんだと騒ぐ市民がいるわけで、流れから云って測定せざるを得ないのだろうが、それでもやっぱりその無意味さが気になってしまう。メタボ健診もそうだが、検査結果の微妙な値の上下が、そんなに気になるのだろうか?「1平方メートル当たり4.8ベクレルの放射性ヨウ素131が検出された」ことにどれだけの意味付けがされるのかが記事からはよく読み取れないので自分で調べざるを得ないのがもどかしい。同じベクレル数の放射能が存在していても、その放射能から生体が受ける影響は、放射線の種類や環境の条件によって異なる。従って、「1平方メートル当たり4.8ベクレルの放射性ヨウ素131が検出された」だけでは、それがどのような意味を持つのか、正確には図りかねる。だが、ヨウ素131は半減期が短く、全体的に見てそれほど強烈な影響があるとは思えない。発表しても意味付けのできない情報は、本来発表すべきではない。

だが、情報は求められているから発表されるというのも事実だ。新型インフルのときなど、患者の居住地域や飛行機の搭乗席の意味まで発表された。噴飯ものと云っても差し支えないレベルの情報だったと思うが、あのときは発表せざるを得なかったのだろうと思う。つまるところ、そういう国民性なのだと思う。

メタボ健診がなんだかんだと云って受け入れられる国民性だということだ。