予算を削ったら被害は拡大するか?

事業仕分けで地震対策費を削ったら、被害が拡大するだろうか?

きわめてレベルの低い対策しかなされていない地域の(どの国とは云わんが)地震対策費を削ったら、被害は拡大するだろう。少し例えが違うが、耐震構造に必須の骨格を一本二本抜いたら、被害は拡大することは疑いない。しかし、日本のようなもともと相応にレベルの高い地域の地震対策費を削ったからといって、被害が拡大するだろうか?裏を返せば、地震対策費を削らなかったら、被害はここまで拡大しなかったと云えるだろうか?

これについては、非常に大きな疑問符がつくと思う。こんかいの地震では、おそらく地震そのものの被害よりも、想定されていた規模の倍の規模の津波が被災地を襲った、その事実が被害を大きくした要因のひとつだったのではないかと思う。予算が倍になれば、倍の堤防が出来ただろうか?さすがにそうは思えない。(「想定が妥当ではない」という科学的な根拠とともに、想定が見直されるような事態になっていなければ、予算がついても堤防自体は改修されないと予想される)

もちろんお金があれば出来たことも、お金がなかったがために出来なかったということはあるだろう。しかし、予算を削ったから被害が拡大したという主張は、今回の地震に関して云えば、一見まともな事を云っているように見えて、どこかおかしい主張なのではないかと思う。まあ、だからといって、事業仕分けを正当化するわけじゃないんだけれども。

いやさー、これってさー、「あのときああしてなかったから、こういう結果になったんだ。けしからん!」って門外漢が批判だけするのってさー、構造的に他人事とは思えないんだよなあ。