検査をしない診療は可能か?

私は検査技師であり、あくまでも診療行為そのものは門外漢であるため、これはあくまでも個人的雑感です。念のため。

検査試薬に限らず、さまざまなものの流通が混乱しており、普段手に入ったものが手に入りません。首都圏や工場集中地帯がやられることで、これほど病院機能が阻害されるとは思わなかったです。現代社会の、致命的な弱点のひとつかもしれません。

さて。

尿路感染症を検査試薬を消費せずに診療できるでしょうか。尿路はたぶん、「患者さんが尿路系の症状を訴えている」ことがまずとっかかりとしてあって、背景の検討をした上で「発熱していない」のであれば膀胱炎、発熱があって背中が痛いのであれば腎盂腎炎の可能性を検討、といった具合になるかと思います。初回の女性の膀胱炎なら、おそらく培養検査も不要でしょう。STで治療しておしまい(ちょっと乱暴か?)。周期的に繰り返す反復性のものもとりあえずSTで治療……かな。単純な膀胱炎だと見当がつけられるなら、積極的に検査する必要性はあまりなさそう。

腎盂腎炎を起こしているケースで入院加療が必要であれば、うーん、さすがにグラム染色は見たいかなぁ。膀胱留置カテーテルが長期入っていることが判明している患者の場合、グラム染色でGPC、GNR取り混ぜて見えるのであれば、PIPCあたりを大量に入れてみるのはいかがでしょう?(腸球菌と非発酵菌、多くの腸内細菌をカバー)さらに考えて、GNRが大量に見えるだけなら、CTMでもいいかもしれません。グラム染色すら出来ないのであれば、わりと「待てる」感じの複雑性はPIPC、重症度バリバリの場合はもうカルバペネムでしょうか。

尿路感染症に関して云えば、血液培養が欲しいところなのですが、非常事態バージョンとしては、それほど検査検査と目くじらたてずともいいかもしれません。CBCは目安にしかならないし、生化学は……高齢者の腎盂腎炎は、やっぱり最低限胆嚢炎とかと鑑別する必要があるよなあ。生化学は必要か……エコーと組み合わせて最初からCPZ/SBTとか落とすとか?うーん、ぶつぶつ……