ヘルメットは必要か?

上記記事に関連して。

本格的な自転車乗りの象徴(?)とも云える、あの流線型のヘルメットですが、果たして必要なものなのかな、とは思います。というよりも、私が関心があるのは、「ヘルメットをしていたら有意に死亡事故を減らすことが出来るのか?」ということです。

だって、ヘルメットの目的は「頭部の保護」です。頭部を保護する目的は、「頭部に致命的な衝撃が加わるのを避けるため」です。ヘルメットの目的は、「頭部に衝撃が加わることで起こりえるクリティカルな生命危機を回避するため」だと考えても、おおむね差し支えないでしょう。従って、ヘルメットを装着することで、「自転車事故における死亡率を減らすことは可能か?」という命題は、最大の関心事項です。

ところが、どうやらこのあたりははっきりしないようなのですね。個人的には、大規模な二重盲検試験なんか出来るわけないので結論は出ないだろうと思っているんですが、ヘルメットが必要だと主張するグループでは、「ヘルメットがあったから助かった。ヘルメットが割れてなかったら、割れていたのは私の頭だ。ヘルメットは必要だ」という主張が多いように思います。ヘルメットが不要だとするグループは、「ヘルメットがなくても死亡率は変わらない。ヘルメットを強制することで生じる不利益の方が大きい」と主張しているように思えます。

結論は、「よくわからん」です。個人的には、落車の際には、ヘルメットは多いに役に立つと思います。しかし、対自動車事故では、ほとんど死亡率を減らす効果はないのではないかと思いますね。あの形状は首を保護していないので回転が加わるときわめて危険ですし、対自動車事故は他にいろんな要素が絡むので、「ヘルメットの着用によって対自動車事故における自転車乗りの死亡率を下げることが出来るか」という疑問には、素直に「わかんね」と思います。ヘルメットが有効である、と声高に叫ぶひとたちには、少々懐疑的な立場です。(マウンテンのメットはフルフェイスですね。マウンテンがどういう競技か知っていれば、フルフェイスでないと困る理由が想像できます)

この議論は、「がん健診に意味はあるのか」という議論に通じるところがあるように思います。こちらも「健診に反対する意見はけしからん」という健診推進派と、「いや、なんかデータ見ると健診の効果もちょっと懐疑的なんじゃね?」という、健診懐疑派がいます(反対派もいるでしょうが)。そして、「健診でがんを早期発見できた、健診は必要だ」と主張する人たちがいるのも同じです。まあ、世の中こんな議論が溢れているんですねえ。

ちなみに、私は車道を走りますが、いまはメットかぶってません。だって、ミニベロでメットってちっと恥ずかしいし、スピードもそんなに出ないんだもの。ひっかけられたら死ぬな、って思いますが、まあたぶん、ヘルメットがあったから大丈夫、なんて、思うことはないでしょうし。