ALOSの怪

DPCで入院症例の会計を見ていると、いくつか不思議に思うことがある。まず、治療のための支出は入院初期に集中する。日当点は、いくつか考慮される疾患もあるようだが、基本的に機械的に定められた値で支払われる。このため、入院初期は日当点を支出が上回り、赤字になる。

そのため、経営的に眺めると、該当患者の入院を伸ばす方向にインセンティブが働くのだ。検査をせず、投薬をせず、ただベッドを占有して療養してもらえば、それだけ支出がなく、日当点だけを収入とすることが出来る。このため、現在の制度下では、「平均在院日数を伸ばす方向」にインセンティブが働く。…ように見える。

いくつか数字を触ってシミュレートしてみたが、いくつかの条件下ではたしかに入院期間を最大限伸ばした方がよい結果になるのである。平均在院日数を減らして、患者の回転が良くなっても、支出を減らして療養してもらうと、そのインパクトをわずかに上回ってしまうのだ。困った。根本的に何かを勘違いしている可能性があるが、それが何なのかわからない−−

(ちなみに、支出がまったくない場合、きわめて低い場合は、さっさと退院させて回転させた方がよい結果になる。病床数が1というきわめておかしな設定を使って考えているせいもあるのかもしれないが……)