パラノーマル・アクティビティを見たよ

2ではありません、あしからず。

激しくネタバレ&ネガティブ感想なので、見たくない人は読まないようにネ。

以前、[リミット]を見に行ったときに2の予告編が流れていたのですが、完全に肩すかしでした。これは詐欺に近いレベル。怖い怖いと連呼するのでどれくらい怖いのか楽しみにしていたのですが、何と云うか、昨今のCG全開、血が飛び散ったり臓器がはみ出したりという「画像的」な怖さに慣れてしまった現代人には(単に感性が劣化しただけかもしれないが)、まったく物足りない一品でした。そもそもね、かの巨匠スピルバーグが「これ以上怖く出来ない」といってリメイクを諦めたって話がありますが、それ、ぜったい嘘でしょ。

ブレアウィッチを見たときも思ったんですが、低予算で手法としては面白いんですが、やはり薄味なのです。現代映画の個性はっきり、コユイ味に慣れてしまうと、薄味は新鮮なんですが、印象に残りにくいのですよ。これが職業的に映画を鑑賞している人ならそうは思わないかもしれないですが、結局映画を楽しむために映画館に足を運ぶ人種に取っては、いまいち「楽しくない」。味が濃すぎてもうんざりですが、薄すぎても楽しくないのです。

なんせ、金額相応に画面が動きません。ずっと家の中でストーリィが進行し、ほとんどのシーンで動きがない。だから、必然的に「音」に頼る恐怖になる。ところが、音に頼るケースは大音響を使える映画館では一定の効果がありますが、家で鑑賞する場合、ほとんどの場合において、あっさり慣れてしまうのですねえ。BGMもないので(なるほど低予算だ!)、いまいち恐怖が演出しきれていません。これがこの映画の致命的に近い弱点ではないかと思います。すなわち、見せるために作っているのに、見せるための「演出」が不完全なのです。

ストーリィが(というか、画面が)動き始めるのはなんと一時間経過した後。この映画最大の見せ場(苦笑)、ヒロインが何者かに引きずられて廊下の奥の方に消え去るシーン。なぜこれを冒頭に持ってこなかったのか、最後まで理由がわかりませんでした。そしてラストシーンは……書くのがめんどくさくなってきちゃった、紆余曲折を経て悪魔に取り付かれたヒロインがカメラ目線でにやりと笑い、飛びかかってきておしまい。きわめてありがちなラストシーン。

個人的には、ヒロインがぼーっと突っ立ってるシーンは怖いと思うし、床に粉を撒いて何かがいないか確かめる手法にはわくわくした。そう、悪魔かそれとも人間か……もしかしたら邪道かもしれないが、そういう楽しみ方をしていた。そういう楽しみ方をする以上、「ひぐらしのなく頃に」の方が数倍怖かったし、面白かったと思う。結局は悪魔の仕業で、ストーリィ的にもこじんまり。そういう点で、きわめて薄味です。

パラノーマル・アクティビティ2、たぶん観に行かないでしょう。残念。

ところで、以前書いたかもしれませんが、私がいちばん怖いのは、「自分が書いたプログラムがぜったいにあり得ない動作をし始めたとき」です。「エクソシスト」なんかで、悪魔に取り付かれた少女がブリッジで階段を駆け下りる(駆け上るだったけ?)シーンは秀逸でした。物理的にあり得ない現象が起こったときが、いちばん怖いです。道路の向こうから五つ子が一列に並んできていっせいにこっちを振り返ってにっこり笑ったら、たぶん怖いです(これ、どこかで読んだ気がする)。まあ、個人の趣味ですね、これは。