私自身は、純粋に血液培養の感度と特異度の問題だと考えています。検査は絶対的に正しいと思っているひとには、おそらく理解できない話でしょう。大学で卒後いきなり画像検査に慣れたドクタに検査絶対主義者が多いように思います。あくまでも印象レベルですが。
昔の、たしか1970年代の研究だったかな、Cumitechの血液培養の項目に参考文献が載っていますが、血液培養1セットのみだと、その感度は65%だと云われているようです。つまり、真の陽性患者を10人並べたら、そのうち3人くらいは見逃す可能性がある、というわけです。これを聞いてぞっとしない臨床経験者は、たぶん即刻医療従事者やめたほうがいいです。これが二セットだと80%(だったかな)、3セットで95%だったと思います。費用と手間、手技的な問題をいろいろ勘案して、2セットが良いのではないかと云われていると私は解釈しています。
2セットだと、右手、左手で同時に採れますね。3セットの場合はどうするんだろう。足かな?それとも右、左、右、とか?どっちにせよ、3セット採取だと患者さんから苦情が出そうな気がします。私自身、3セットは提案したことはほとんどないです。
ところで、血液培養でCandidaが2セット陽性、その後測定したβ-Dグルカンが陰性。これはどちらが正しいんでしょうか?この手の矛盾した結果が出たとき、医療従事者はどうも具体的な数字が出る方をなんとなく信用してしまう傾向があるようです。グルカンも悪くはないと思うのですが、どう頑張ったって偽陰性は出てしまいます。真実は神のみぞ知るですが、血液培養で2セット陽性なら、グルカンよりは血液培養の結果を信じたいですね、個人的にゃ。血液培養の特異度は比較的高めで、2セット採取は血液培養の特異度を補完します。2セット採取して2セットとも陽性であったなら、それがたとえ表皮ブ菌であれ、検討の必要があると考えます。
というわけで、血液培養は本来、二セット採取が検査のあるべき姿だと思います。詳しくはCumitechがいいと思うので、どこかそこらへんの本屋で探してみてください。Amazonにもあります。
- 作者: 松本哲哉,満田年宏
- 出版社/メーカー: 医歯薬出版
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 13回
- この商品を含むブログ (1件) を見る