乳幼児の髄膜炎

生後四ヶ月のベビーちゃんの髄膜炎疑い。まあ、結局は髄膜炎だった訳ですけど、髄液が検査室にきた時はまだ「疑い」でした。

髄液、真っ白だったけどな!

今年の春研修医なったばかりという出来立てほやほやの研修医が持ってきてくれたのですが、「あー、白いですね、髄膜炎ですね」という私に、「え、わかるんですか?」と……お、恐ろしい。どうやら小児科の研修で初めて見た髄液が髄膜炎ばりばりの真っ白白だったようで、これは運がいいのか悪いのか。何はともあれ、白い髄液見てスルーするようでは技師の存在意義もありませんので、とりあえず遠心してグラム染色へGo。

……デジカメ不調で写真ありません(残念!)

好中球がもっさり見えるのですが、菌は見えません。Haemoのようなグラム陰性桿菌が見えないこともないのですが、B&M法で蛋白のきつい髄液を染めるとこの手のアーチファクトはよく見えるので、ちょっと判断出来ません。菌がほとんど見えないということで主治医に抗生剤は投与されていないか確認すると、「投与されていないと思う」とのこと。……うーん、そんなはずはないんだけどなあ。じゃあ何か、生後四ヶ月だから、これはグラム染色で見えないことも考慮して、リステリア髄膜炎も視野に入れておかないといけない……のかなぁ?

いろいろ詳しく経過を聞いてみると、開業医にかかった形跡があるとのことで、そこで詳しく聞いてみると、やはり抗生剤の投与はされていました。開業医の皆様、CFPN好きですね。おそらくこいつのせいだと思うのですが、好中球のもっさり感のわりに菌がほとんど見えません。いくつかスライドをひいて見たのですが、そこでいくつかグラム陽性の連鎖球菌らしき像を見つけることは出来ましたが、これまた数が少なすぎて決定打には出来ません。ラテックス凝集反応は明らかな凝集なし、尿中肺炎球菌抗原もやってみたのですが陰性、困ったことに、打てる手がなくなってしまったのでした。
(最終的には、血培も陰性でした)

という訳で、煮え切らないまま培養に回し、そこでGBSが生えてきたので、それを報告、リステリアではなかったので抗生剤を外すこともなく、無事に軽快してことなきを得ました。持ち込まれた時に最後まで詰められなかったのが悔しい一例です。うーむ。