高CRP血症で人は死なない(と思う)

高K血症で人は死ぬが、高CRP血症で人は死なない。高CRPになれば人は高CRP状態になった原因のために死ぬ可能性があるが、高CRP状態が直接の原因で何か致命的な状態を引き起こすことはまずない。

逆に云えば、高CRPは患者のクリティカルな状態を必ずしも反映しないのだ。低CRPでも致命的な状態はいくらでもあるし、高CRPでも原因にさえ対処できれば救命は可能である。高CRPは感染であることを反映しないし、低CRPは感染症を否定しない。高CRPであることはクリティカルであることを必ずしも意味しないし、低CRPで予後が保障されるわけでもない。CRPなんてそんなもので、ぶっちゃけて云っちゃえば、検査値なんてそんなものだ。目の前の患者に勝るものはない。

何が云いたいのかというと、CRPしか見ていない主治医が多すぎるのだ。CRPが高いから重症です、って、もう何度聞いたかわからない。救急で見るCRPは、おおむね患者の状態を一点だけで切った瞬間的な値に過ぎない。感染症で重要なのは、悪化しているのか改善しているのか、その「経過」のはず。CRPの一瞬で、その経過はぜったいに見えてこない。

CRP:2程度の骨折患者、超重症感染症患者さんでした。なんせWBCが14000→4000まで一気に落ちましたから……ウチは高齢者が多いので、この手の落ち方する患者さんは、たいてい予後不良というか、あまりよくない経過を辿ることが多いです。骨折患者というだけで、感染症の字が頭から落ちるひとはけっこう多いようです。救急に詰めている、とくに研修医の先生方にお願いです。骨折患者は、なぜ骨折したのか、に目を向けてあげてください。この患者さんは、ベランダで倒れていたそうです。じゃあ、なぜ倒れたのか?肺炎で、意識障害を起こして倒れたんですねえ……

(ちなみにCRPはあとでちゃんと20くらいまで上がりました。役に立ちませんね)