プロカルシトニンと抗菌薬の適正使用

プロカルシトニンの資料をネットであさって読んでいるんですが、よく思うのが、「プロカルシトニンで抗生剤の適正使用が実現するか?」ですね。個人的な意見としては、否定的な感想です。ツールの問題じゃなくて、文化の問題だと思うけどなあ。

PCTが全能で、これを使って細菌感染症をたちどころに見破れるというのならそれもアリだとは思いますが、PCTだって万能じゃないし、そこまで有用なツールでもない。あれば参考になるけど、なくては困るというほどじゃない……使い方はいろいろあると思うんです。FN時の感染とか、膠原病と細菌感染を見分けたりとか。でも、感度に限界がある以上……たとえば、感度90%で見分けるとして、100人みたら、10人は見逃されるわけですよね……万が一があったら困る世界で、「じゃあ、"念のために"抗生剤投与しましょうか」という流れは、断ち切れないんじゃないかと思わないでもない……悲観的かなぁ。

肺炎球菌性肺炎をPCGで治療するのって「一種の文化」だと思う。ちょっと変な言い回しだけど、これをひとりでやるのはすごい勇気と度胸、経験の積み重ねがいる。抗生剤の適正使用は「文化」だ。異文化を理解するには時間と根気と理解力(そして飛び込む度胸)がいるのと、とてもよく似ている。これは人間の問題なのだ、ツールひとつで実現する問題ではない。

……んだけど、何もしないでブツブツ云っているよりははるかにマシなんで、こうやってもぞもぞ動いているわけで。でもねえ……とオジさんは思うのであった。うーん、なんだか方向性がずれているような気もするなあ……ブツブツ。