無意味な検便に引導を

引導シリーズ(笑)。

まあ、厨房職員の検便については、厚生労働省のマニュアルである「大量調理施設衛生管理マニュアル」に明記されちゃってるんで、引導もへったくれもないんですけどね。でも、無症候性保菌者を発見するための検便に意味がないことは、少し考えただけでも容易に推察できます。すなわち、

  1. いまサルモネラ等の腸管病原菌を保有していないからといって、明日保有しない保障はどこにもない。
    • きょう健康だからといって、明日も元気だとは限らない。一寸先は闇とはよく云ったもんだ。
    • タイフォイド・メアリィの話はあまりにも有名。しかし、検査で検出されなかったからといって、その人が「保菌していない」保障はどこにもない。
  2. 培養で検出できないけど、食中毒の原因になり得るものもある。
    • 食中毒系のニュースを注意深く見ているとよくわかる。S.aureusの毒素中毒は家庭でもしょっちゅう発生するが、基本的には検便などで防ぎがたい。学祭などで集団食中毒を起こすこともよくある。チャーハンのB.cereusなども有名か。ノロも捨てがたい。
    • そういえば、大量調理施設衛生管理マニュアルには、出来ればノロも検査しろと書いてあった。その記述を見たときゃ、我が目を疑ったヨ。マジで。
  3. 培養検査の感度の問題
    • 先にも述べたとおり、検査で陰性であったからといって、そのひとが保菌していないという保障はどこにもない。感染対策を怠っていい理由もない。サルモネラ保菌者を検査すると、出たり出なかったりとさまざまである。困ったことに、その場合は「検査で出ないけど保菌している状態」であることが推察される。

従って、検便に本質的な意味はありません。日本中の施設を使って、検便するグループと検便しないグループに分けて大規模疫学研究したらイイヨ。絶対有意差でないから。といっても、もともと院内で大規模食中毒なんて滅多に起きないけど……