シーシェパードについて

とかなんとかタイトル付けてみたけど、要するにこのひとたちって、「自分たちの文化のほうが優れているから、鯨を食べるなんていう野蛮で未開な文化をもつ日本人はけしからん」って云っているのと同じですよね?そこがビミョーに腹立つんですが、個人的には、スーパーで売られている鯨肉を食べてみてもとくにおいしいとか不味いとかの感想はなく、捕鯨についてもとりたてて意見は持ちません。シーシェパードについては、よくもまあそこまできれいに思い上がれるもんだとは思いますが……

たとえば、フランスが必死こいて守っている「食文化」であるフォアグラなんて、ガチョウに強制的に飯食わせて人工的に脂肪肝にしたものですが、これって完全に動物虐待ですよね。さんざん苦しめた挙げ句に、けっきょく屠殺してしまう。人工的にしか作ることが出来ない、とても「不」自然な食材です。シーシェパードは海洋生物専門ですから組織的にはいいのかもしれませんが、まあ、組織の行動理念としてはフォアグラに噛み付いてもよさそうなものです。よく云われるカンガルーもそうですね。彼らの頭の中ではカンガルーは害獣なので、ためらいなく殺してもいいことになっているそうですが、カンガルーもいちおうほ乳類ですし(袋あるけど)、姿形はけっこうかわいらしい。まあこの問題そのものは、行くところまで突き詰めてしまえば、殺すために飼育するという行為そのものの是非に行き着きそうですが、そこんところはちょっと置いておいて……

日本の文化はややこしくて、日本古来の連綿と続いてきた「日本的」な文化と、鎖国を解いて急激に入ってきた西洋風文化の混淆です。文明開化と呼ばれた急激な風習、制度の変更は、封建色が強く、かなり行き詰まりの様相を見せていた日本古来の文化に新しい風をもたらしたとも云えるでしょう。……ま、「文明開化」ということば自体に閉鎖されてきた日本が外に向かって大きく開いたという意味合いがありますけど、でもこのときにもきっと、「日本古来の〜」って云った人がいたと思うわけです。全員が手放しで喜んだわけではないと思うんですね。でも多くの人にはきっと受け入れられ、だからかどうかは知りませんが、日本の文化は大きく変貌した。捕鯨も日本古来の文化なわけですが、これ、絶対に守っていかないといけない「文化」なのかなあとは思います。シーシェパードはおかしな団体だと思いますし、べつに屈するわけではありませんが、しかし「捕鯨」と「鯨を食べる文化」が、日本が誇るべき文化なのかと云われれば、ちょっと首を傾げてしまいますね。

まあだから、私がシーシェパードに反発を覚えるのは、「自分たちの文化を<正しいもの>として押し付けてくる傲慢な組織」だからといってもいいでしょう。こういうひとたちは、「未開である」文化を見下しています。人の生き方に正しい、間違っているがないのと同じように、文化にもまた正しい、間違っているはありえないはずなのにね。

(だからといって、食人習慣や犬食べたりとか、生理的に受け付けませんけど……)