正露丸について

三た論法で思い出したんですが、正露丸の有効性についても、たぶんに三た論法的なところがある気がします。古くは結核にも使われたというので驚きですが(これに限って云えば明らかに間違った使い方です)、当時は魔法の薬として重要な位置を占めていた製品だったのですね。歴史を感じさせる、いいか悪いかは別にしても、いわゆる国民薬といってもいい薬でしょう。けっこうどの家庭にも常備されていたはず。

ちょっと勉強がてら大幸製薬さんのサイトを覗いてみたのですが、主成分である日局クレオソートについてはいろいろ書いてあり、かなり必死になって石炭クレオソートとは違うんだと訴えているのですが、このあたりは私も知らなかったので勉強にはなったものの、結局日局クレオソートの主成分はグアヤコールでありこれは医療用途で劇薬指定されている劇薬なんだという事実には触れていない気がしますねえ。フェノールはさんざん騒がれたから記載がありますけど……

なによりも私がいちばん正露丸に三た論法的なところを感じてしまうのは、掲載されている論文に、二重盲検した論文がない……ように思える……ところなんだよなあ。塩酸ロペラミドとの比較試験では、腹痛の改善について、木クレオソート(日局クレオソート)と二重盲検で比較したところ、木クレオソートに軍配が上がったとあります。ざっとみたところ、いまのところこれだけ。見落としているかもしれないから先に謝っておこう、ごめんなさい。

でもね、大幸製薬さん、ぼくの記憶では塩酸ロペラミド(ロペミン)は下痢止めであって、腹痛改善(つまり沈痛?)は専門外だと思うんですが。(むしろ比較すべきは下痢症状の改善率とかじゃないのかと思いますが……これについて、誰か知っているひとがいたら教えてください。専門外の効果について検討した論文が査読を通って専門誌に受理されるなんてことはあり得ないので、何か理由があるとは思うのですが……沈痛ではなく、腸壁の運動を正常化(?)することで腹痛を改善する、とかでしょうか。だったらロペミンは腸管蠕動を止めてしまうので、これまた専門外な気もします)

出来るだけ、正確に理解したいと思うのですが、ちょっとサイトに載せられている情報では不十分な気がしますね……まあ、学術論文でもメーカさん主導のものはいっさい信用しないようにしているんですけど……