VCMの感受性

学会での収穫その2。

以前からVCMのEtestを使うとなんか高い値が出るなと感じていたのですが、どうやらやはりそういうものらしいです。これはシンポジウムの中村先生のお話に出てきたのですが、VCMのEtestを使うとびみょーに高い値が出るのは事実のようです。文献的にも実証された事実のようで、知らなかったことがお恥ずかしいというか、何と云うか。

同じVCMでもEnterococciに対する作用機序とStaphylococciに対する作用機序はびみょーに異なるところがありまして、至極簡単に書いてしまいますと、Enterococciは「VCMの作用点を別の物質に置き換えてVCMが結合できなくする」ことで耐性化しますが、Staphylococciは「根性でVCMの作用点を大量に作り出して物量作戦で押し切る」ことで耐性化します。VCMの作用は細胞壁合成阻害ですが、必然的にVRSAはすさまじくでかくなります。詳細は成書をどうぞ。

つまり、Enterococciの耐性機序ではVCMは消費されませんが(結合できない)、Staphylococciはどんどん消費されていきます(VCMは結合するが相手のほうが多い)。外から供給するタイプのディスク法やEtestでは正確なMICが測定できないのもむべなるかな、といったところでしょうか。おそらくこれを正確に測定するためには、VCMが含有された生培地が必要なんでしょう。

うーむ、どうにも前から一致せんなとは思っていたのですが、薬剤の力価が落ちたのかな、くらいにしか思っていませんでした。研究者にはなれんなあ。