手洗いのタイミング

いたるところで見かける「新型インフルエンザ予防対策」の手洗いセット。たいてい施設の入り口にちょこんと置いてあったりしてびっくりするのだが、これほど無意味なものはないとも云える。論理的に考えたらすぐにわかることなので、個人的には対策をしているというパフォーマンスだと思っている。……のだが、手洗いを強制されて手が荒れるという話もよく聞くところ。私個人としては、手洗いそのものに対して疑念を持っていますので、なおさら無意味だと思うのかもしれませんが。

  1. インフルエンザは咳などを介して伝播する飛沫核感染と、その飛沫が手について、それが口に運ばれて感染が成立する接触感染の二種類の顔を持っている。
    • まず施設の入り口で手を消毒する。手からはインフルエンザウィルスはなくなったと仮定する。
    • その後、本当にインフルエンザウィルスを保有しているAという人物が、どこかで鼻水をじゅるじゅる云わせ、「ごほ」と咳をした。
    • Aの手にはウィルスがついていたが、Aはどこかの手すりを触り、手すりにウィルスがついた。
    • インフルウィルスは環境でしばらく生存可能である。諸説紛々っぽいが、8時間も生きるという資料を見たことがある。
    • 従って、生きたウィルスはそこから第三者であるBの手に付着した。
    • Bが鼻くそでもほじって……はあんまりなので、小腹がすいたのでチョコでも食べたとしよう。
    • するとBの体内にインフルエンザが取り込まれてしまう。
    • Bは自覚がないが、感染は成立する。
    • Bは施設に入るときも手を消毒した。手が荒れてひりひりするが、感染するよりマシだと考えて我慢している。施設から出るときもとうぜん消毒をした。ひりひり。
    • Bは数日後、インフルエンザを発症することになる(……かどうかは神のみぞ知る)。

はい、無意味です。
まあ、飛沫核感染で直接もらう可能性も十分あるし。あんなの、対策してますよというパフォーマンスです。免罪符ですね。新型インフルが出た直後、カナダに修学旅行に行った学生が、マスクをしていなかったということでずいぶん叩かれましたが、いままでずっとマスクに対する間違った知識を刷り込まれてきたので、あんなアレルギー的反応になったのでしょう。アレルギーというより、ヒステリィですけどね。ああ、そういえば、けっこう日本人って責任の所在を他人に求めるヒステリィな民族ですよね。うん。

そういえば、IDATENのケースカンファの会場の入り口にもインフル消毒セットが置いてあったなあ。まさかこのケースカンファで見ることになるとは思ってもいなかったので、すごくびっくりしました。あれはたしか6月のことで、みんながマスクマスクとわめいている時期でしたね。さすがにマスクをしているひとは皆無でした。とうぜん、咳をしている人もいませんでしたが。

……そーいえば、青木先生のあのすばらしい講演のビデオがダウンロードできるという話はどうなったんだろー。