カンジダって同定する必要あるかなあ?

色の発色でカンジダを推定同定する培地がありますが、カンジダってそんなに神経質に同定してやる必要ってないんじゃないかと思います。たとえば、膣分泌液のカンジダカンジダ膣炎があるのでカンジダそのものは見逃せませんが、細かく同定してやる必要はほとんどないでしょう。同定しても、治療方針に影響しないからです。この場合、治療方針に影響しないなら同定してやる意義はほとんどないといってもいいでしょう。こうやって考えると、外来患者のカンジダってほとんどCandida species あたりの適当な菌名で返してOKな気がします。

カンジダは菌種によってかなり明確に感受性が分かれますので、菌名を同定してやる意義はたぶんそこにあるのではないかと思います。C.albicansはもっともよく検出され、もっとも病原性も高いと云われていますが、反面ほとんど耐性はありません。FLCZでOK。C.glabrataはFLCZに用量依存性耐性なのでFLCZは避けMCFGが無難。Cparapsilosisはカテーテル感染に多く、血液培養から検出されたまずそっちを疑う。MCFGのMICが若干高めに出るものの、臨床的には耐性はないと云われる。C.kruseiは困ったちゃんで、FLCZがほとんど耐性を示すためMCFGを使うほうが無難。でもほとんど検出はない。

じゃあカンジダが問題になるシーンはどれかと云うと、これはもうほとんどシチュエーションは限られていて、「好中球減少の期間が長いときの熱発」(短いときはカンジダよりP.aeruginosaがまず疑わしい)、「外科手術後の感染」、「カテーテル関係の感染症全般」……といったところでしょうか。ほとんどの場合はそうです。こういうときは、詳細な同定が必要です。逆に云うと、おそらく無菌材料からの検出でなければ同定の意義はほとんどないのではないかと思います。外来患者で詳細にフォローしなければならない理由はほとんど思いつかない。

外来でグルカンの測定をときどきしますが、特別アスペルギローマを疑ったりするのでなければ、抗生剤が効かない=真菌かも?という発想は意味がありません。無駄な検査なのでやめたほうが無難でしょう(時間もかかるし)。だいたい、カンジダ肺炎なんて一回しか見たことないぞ?