新型インフルエンザとその周囲の状況

詳しい人は知っていることばかりだけど、あんまりネタないし(苦笑)

肺炎球菌ワクチンが品薄

合併症を少しでも減らすために、透析患者さんなどに肺炎球菌ワクチンを打とうという動きが広まっているようです。もうすでに品薄状態らしく、お知らせがまわってきていました。というか、みんな考えることは同じだったようですね。お盆あたりから出荷が多くなってきて、現在品薄状態が続いている、とのこと。5年しか効果が続かない上に一生に一度しかうてないというワケのわからない制約のついたワクチンですが(この制約に医学的根拠は乏しい)、このような努力は必要なものです。これを機に、ワクチンに対する正確な知識と、それに関する議論が広がっていくといいですね。

Hibもそろそろ本格的な議論が必要だと思います。行政は、「何か」やって「何か」があったときに責任を取ることを嫌がる傾向があるようですが、医療裁判では「とうぜんやるべき処置を行わなかった」ことを追求されます。医学的見地に基づいて客観的に判断すると、肺炎球菌ワクチンに課せられた制約は不当なものだと思われますし、そのような制約をほったらかしにしている関係各所は、この事態をちゃんと議論するべきでしょう。

誰か「やるべきことをやらなかった」ってお役所を訴えないと変わらないんだろうなという気もしますけど……

新型インフルのワクチンが品薄

これはもうさんざん云われていることで、優先順位もすったもんだして、いまは医療従事者がトップに来たりしているみたいですね。正直なところ、ワクチンをうったら大丈夫、みたいな考え方をされているような気がして、これはこれで怖いなあという気がします。私はもうすでにワクチンを「打たない」と決めていますので、私の分を誰か必要なひとにまわしてあげてください。私は自分が感染症屋さんだという自覚のすべてでもって、インフルエンザにかからないように努力したいと思います。

TBにラボ感染した人間の云える台詞じゃねーですけど(苦笑)

発熱する疾患

だいたいさー、発熱する疾患っていっぱいあるよねえ。私のところも最初のトンフル騒動が一段落ついたときいろいろと対応を協議したようですが、最終的にまわってきた文書は「発熱外来についてはこれを堅持し……云々」だったですもんねえ。サーモグラフィを購入したところもあったみたいですし、PCR機器を増設しようとして予算をつけようとわめいた部署もあったみたいですが、「発熱」が問題になる疾患はいくらでもあるわけで、問題の本質は「発熱している患者をどうやって診察するか」なんじゃないかと思います。海外ではすでに簡易キットすら省略するようになってきているそうですが、その結果、危険な誤診が増えたようです。この患者はインフルだろう、そういう思い込みが誤診を増やします。

鑑別を広く持てないと、それだけで誤診します。そもそも、だから「発熱外来」という、「発熱患者を特別扱いする期間限定の特殊外来」というのは、存在自体がおかしいんじゃないかと思います。日本は麻疹大国ですが、麻疹のほうがよっぽど怖いです(麻疹が新型インフルほど流行しないのは、ワクチンの効果ですね)。対症療法で乗り切ろうというのは、短期のリスクマネージメントとしては仕方がないのかもしれませんが、結局のところ破綻するでしょう。柔軟性に欠けますから。