感染症分野の詰め合わせ

調子は変わらず、あまり意気はあがらない。

新型インフル

そろそろ院内の職員が新型インフルにやられはじめる時期。みなさんの病院では、「インフルエンザ様症状」で簡単に、しかも不利益なく有給が取れる体制になっていますか?看護婦さんはどこも慢性的に人数が足りないので、なかなか休めないとかゆー、よろしくない状況に陥っているところもあるようです。ウチのICCで決められた手順を見せてもらいましたが、キットが足りなくなったときのことをぜんぜん考えてないんですねー。もう、「インフルエンザ様症状」が出たら、すべからく自宅療養でいいじゃん。

学級閉鎖もそうですね。単位の足りない学生など、理由があったら人間はいくらかの無茶はやるものです。行政の採る政策は、「個人に不利益が生じる」可能性を考慮し、そのようなことがないように極力配慮がなされなければなりません。休め休めと云ったところで、「休めない環境」なら誰も休みません(とくに農耕民族たる日本人はその傾向が強く、壊れる寸前まで無茶をするひとが多い)。休みやすい環境を整えることが、まず組織のやるべきことだと云えるでしょう。

タミフル投与したって病期が一日やそこら少なくなるだけだぜ?どうやったら動線を短くタミフルを投与できるかじゃなくって、タミフルなんかどうでもいいからさっさと休める環境を整えるべし。健康で若い病院職員だったら、タミフルなんざ投与せずに家でポカリをがぶ飲みだぜ!(推奨はしませんが)

ところで、さいきんみんな「動線」を「導線」って書くんだよなあ。ワープロの弊害なのかなあ。「導く線」でも意味は通じるけど、これじゃ爆発しちまうぜ?

直腸膀胱窩膿瘍

右下下腹部に限局した強い痛み、頻回の水様下痢で入院した患者さん。でも盲腸にあらず。発熱あり、CT上で小腸に憩室あり、憩室部分に炎症反応あり、血液培養からPr.melaninogenicaが検出され、でも本人の強い希望で転院してしまい、最終診断名がわからず仕舞い。以前に書いた謎の回腸末端炎の最終診断名は「直腸膀胱窩膿瘍」でした。ぎゃーす。症例としてはこーゆう例も「下痢」で表現されると知っていたのに、じっさい下痢症患者見ると頭の鑑別リストに入ってこなかったー(必死こいてCampyloとか探したヨ)。

この膿瘍は非常にくせ者で、たしかに後から思い起こせばすべてが当てはまるのですが、なかなか最初から鑑別リストに挙ってこないですね。ぎゃーす。二度目は見逃さん。

プロカルシトニン

新規の検査は却下されることが多いので(導入して赤くなったら誰が責任を取るの取らんのとゆー、きわめて下らない思惑が働く)、診療部から導入を働きかけてもらうように暗躍しました(爆)。ちょいと上のドクターをつかまえて適当に演説ぶってみたので、診療部の長あたりを経由して検査技師長に申し入れがあれば、まあまあ成功した部類かな。もともと導入に積極的な意見を持っているひとだし。あとは気長に待つのみ。

サンプルを請求して、血液内科とかICUにばらまくのもありか。そのあたりは上司の許可がないと出来ないので、次の段階。これはいい検査だと思ってプロカルシトニンについて技術的なまとめを書いたのが、もう二年も前になるのかぁ(遠い目)。再三、訴えているんだけどなあ。さっさと導入してたら、検査部からのいい提案になったのにねぇ、もったいない。

小児なんかでプロカルシトニンを検討できれば、わざわざ髄液穿刺しなくてもよくなるかもしれません。そういった考え方がスタンダードになるには、かなり大きな規模の研究が必要だろうとは思いますが。