FOMって効いてるのか?

腸管感染症にFOMってけっこうどこの病院でも普通だと思うのですが、本当に効果があるのかどうか、疑問に思っています。とくに小児科は脊椎反射でFOMを出す傾向があり、べつに絶対に駄目だとは思いませんが(どうせFOMはこの使い方以外は特殊すぎて他への影響が少ない)、有効だという意見もあれば意味がないという意見もあるようで、なんだか煮え切りません。個人的な意見としては、おそらく意味はない、んじゃないかなァ……と思います。

だいたい、ベロ産生O-157のHUSのときには、抗生剤を使うことで菌が溶菌してさらに毒素をばらまくために抗生剤を使わずに対症療法っていう意見はけっこう聞くと思うのですが、堺の集団食中毒を経験された医師の中には、FOMだけは投与しても別段HUSが悪化することもなかった、という意見があったようです。ということは、アレですか、もしかして「まったく効果がなかったからHUSが悪化しなかった」だけなんじゃないかと、意地悪に考えてしまいます。ほんとのところは、どうなんでしょう?

当院では、小児科がよく使っているので腸管感染症関係の菌が出てきたときにはFOMをディスク法で実施しています。正直なところ、CLSIの判定基準は尿路のみとなっていたと思うので、適切な判定かどうかはさておきですが、ときどき耐性と判定されても、ほとんど例外なく「治って」います。これは、判定基準が不適切で実際には感受性があるのに耐性と判定しているだけなのか、それともマジで効果がなくて自然治癒しているのを見ているだけなのか……ここらへんをすっきり両断した論文はないのかなぁ……

ちなみに、個人的にはFOMの感受性試験は不要だと思います。どーせ耐性で報告してもFOMで押してしまいますし、そもそも効いているのかどうかもよくわからんのです。有用性があるとはっきりしているならいいんですが、現状、「FOMを投与したら下痢が治った」というのは、haelthy responderを見ているだけなんじゃないかなあという気がします。