新型差別

新型インフルエンザ差別とでもいうべき偏見の目があるようです。

いわく、兵庫の学生が関東に修学旅行に出かけたとき、どこから来たのかと問われて兵庫からだと答えたら、「やばいな」と云われたとか。まあどの程度深刻に「やばいな」と云ったのかは不明ですが、関東で新型インフルエンザ患者が出たらおまえらのせいだ、みたいな電話もあったらしく、まったくもって不届きな話だと思います。みんながみんな、全員そういう考え方ではないということはわかっているんですが、何とも云えない気分になりますね。

まあ、扱い方が「強毒株」扱いで、「感染したらヤバい」らしいというイメージだけが先行したと云ってもいいかもしれません。N95マスク、全身防護服の検疫官の姿が繰り返し報道されたことも、そのイメージを助長したでしょう。どうも日本人ってのは国民的に、「過剰反応するひとたち」と「まったく無反応になる人たち」がいるようで、ようするに極端から極端へと突っ走る傾向があるように思えます。「過剰反応する人たち」はマスクを買いあさってイベントを中止して出張を取りやめましたし、マスクをしなかった学生を「不注意だ」と云ってなじりました(根拠もなしにね)。この空気は「和を大切にする」日本独特の文化がもとになっているように思えますが、正直なところほとんど理解出来ません。たぶん、何か悪いことが起きたら誰かのせいだ、という明確な理由を求める考え方と、ちゃんと対策をしないと何かあったら非難される、という思いが、組織を過剰対策に走らせているんじゃないかと思います。個人で過剰対策に走っている方は、ただの無知です(ごめんなさい)。原初の闇を恐れる本能に忠実だとも云えますが。

真面目な国民性だけに、理由がないと気持ち悪いんでしょうか。国内で見つかったときに、感染経路がわからないという意見をよく目にしましたが、感染経路が分かったからって何かいいことあるんでしょうか。当然調べる価値はあるんですが、むしろ分からないほうが普通なのではないかと思います。猟奇事件なんかでも、動機が分からないと不安だという感想をよく目にしますが、動機が分かったからといって何かが変わりますか?当然調べる価値はあるんですが、むしろわからないほうが普通なんじゃないかと思います。「太陽が黄色かったから」では理解出来ない、何かもっと具体的な、誰もが理解できる理由があるはずだ……つまり、理解出来ないものに対する理解が欠如した国民なのかなという気もします。……どこの国でも似たようなものなんでしょうかねえ。