新型インフルエンザについて

改めて、新型インフルエンザについて。

最初に検疫でひっかかったのは5月の9日でしたっけ、そのあたりでしたね。今回、神戸で発見された「渡航歴のない」新型インフルエンザは、11日辺りから症状があった、と聞いています。つまり、最初の水際症例が発見された、ほとんど同時に、検疫をすり抜けた症例があった、ということですね。やるべきではなかったとはいいませんが、その評価は難しいところでしょう。検疫体制は縮小されると聞いていますので、これからは国内に目を向けた体制にシフトしていくという事ですね。

月曜日になれば、病院や発熱相談センターに相談があふれるかもしれません。ところで、「私、ちょっと熱っぽいんです」という相談を、どうやって捌いていったらいいのか、そこらへんが課題になるのではないかと思います。いままでだったら「海外渡航歴」がなければ、「季節性でしょう」というマニュアルがあった。でもそんなの役に立たないことは最初からわかっていたことです。その建前が崩れてしまったら、「私、きのう神戸に行ってきたんですけど、ちょっと熱っぽくて……」という相談に、どうやって対応したらいいのか。医師であっても電話相談は難しいのに、「とりあえず発熱外来を受診してください」ということになりませんか?そうなると、こんどは病院に患者があふれてくる。すると病院でも検査はするが簡易キットの結果でA型と判断されたら、片っ端から検体を衛生研究所に送らないといけなくなる。すると、こんどはPCRを実施しているラボがパンクする。……うーん、悲観的な未来予想図だ(苦笑)。

そういう対応の仕方を組織で決めておく、とくに夜間に診察をする研修医の先生方に教育しておくのは必要な事ではないかと想像します。というか……感染率はちょっと高いものの、旧型であれ新型であれ、しょせんはインフルエンザなんだということを市民が理解して冷静になることがいちばん重要なんじゃないかと思います。ニュース速報で感染者数を報道することに意味はないように思いますし、不安を煽るだけなのでは?ニュースでマスクが足りないとか、マスクがなかったら絶対感染するみたいな報道も控えるべきでは?感染者をバイオテロリスト扱いするのはやめませんか?感染者したかもしれないひとが出歩くのを控えて、マスクをして、家でおとなしくしている、それだけで影響は最小限に抑えられると考えられます――そういう報道を繰り返しするべきなのでは?予想されたことですが、いまの報道は、厚生労働省の記者会見も含めて、すこしずれているように思われてなりません。