後だしじゃんけん好きだよね、日本人って

ああ、始まった……というしかない、愚かな極みの記事

いちばんコワいのがこれなんですよね……あとからピーチクパーチクと後出しじゃんけんで欠点をあげつらう行為。ほんっとに被害者に配慮のない国ですよね。これが日本人の民族的な気質だなんて思いたくはありませんが、じゃあ日本人の民度と云うか、成熟度というか、そういうものが明らかになっちゃうね、という感じです。

この記事のどこに報道されるべき要素があるのか、理解出来ません。マスクをしていなかったから何だというのですか?この記事はマスクをしていなかったから感染したのだと云いたいのでしょうか。まさかね?まさかだよね?何を根拠にマスクしていたら感染しなかったと判断出来るのですか?そんな根拠のない妄想を根拠に、被害者に鞭打つ真似しないよね?そんな根拠のない記事を書いたりしないよね?書くネタなかったから、書かなくてもいい事実をそのまま書いてみただけだよね?(それでもいいわけないんですが)

マスクをしていたら感染を防げたかもしれないなんて、誰にも分かりゃしません。

前回イギリスのCMを紹介しましたが、このCMにはマスクが登場しません。不思議ですね。マスクは患者が付けるものです。マスクが感染防御に有効であるというエビデンスは、じつはあまりありません(ないわけではない)。このCMでも表現されているとおり、マスクはくしゃみなどで起きる「しぶき」の飛散を防止します(CMではティッシュで口を覆っている=ほぼマスクの役目と同義と考えられる)。これによってしぶきが拡散するのを防ぐのです。マスクによって阻まれたしぶきなどの粒子は、そのまま地面に落ちていきます。インフルエンザウィルスはしぶきによって拡散するウィルスですので、ウィルスも同時に地面に落ちます。地面に落ちたウィルスは感染性を失いますので、患者がつけるマスクは感染防御に重大な意味を持つと考えられます。

一方、非感染者がつけるマスクには、たしかに粒子の侵入を防ぐ効果もありますが、不適切に扱うことで(マスクを外すときなんかに手を介して)逆に感染する可能性が指摘されています。とりあえず非感染者でマスクが勧められるのは、近くでしぶきがかかることが多い医療従事者か、患者を介護している近親者などですね。たとえば人間がうじゃうじゃいる雑踏での感染予防効果は……理論的に考えればありそうな気がしますが、適切な形で論証はされていません。従って、積極的に勧められるような話ではない。それ以前に、そんなところに出歩くなということになります。……ないよりはマシだというレベルです。

従ってこの記事は、インフルエンザで苦しむ被害者にさらに鞭をあびせるような、まったく無益な記事です。大半の人はこの記事を見て、マスクをしていなかった=落ち度、だと感じるでしょう。私は、以上の点から、このトンフル患者さんが責められる点は何ひとつないと思います。むしろ現地ではマスクをしない、帰国の時点で症状があったかどうかは知りませんが、感染拡大の防止のためにマスクを付けて帰ってきたということで、正しい行動だった可能性すらあります(というか、たぶんそうだと思いますが)。

比較的軽症っぽいですが、早く回復されることをお祈りします。