トンフル疑いの価値

これは危機管理と云えるのだろうか……

疑い例をことごとく発表するのは、うーん、どうなんでしょうね……発表されたところでどうだというのでしょう。たしかに重要なことではあるのですが、対応は変わりません。それに対して東京都はある程度確定された情報しか届け出ないという形を取り始めたようです。厚生労働層疑い例を発表しなければならないと考えているようですが、疑い例が出たという情報にいかほどの価値があるのかと云われると……うーむ。

まあ水際でどうこうという段階なら、ある程度の価値はあるかもしれませんが……疑い例が出た=本当に新型かもしれない→まわりにいっぱいいるかもしれない、という可能性はたしかにあります。ですが、じゃあ疑い例のいないところに患者はいないのかと云われりゃそんなことはなく、対応はやはり変わらないのではないかと思います。お役所が発表しなければならないと思っているのは、結局は国民が知りたがっているから、という、きわめてわかりやすい理由だろうと思いますし、発表することで危機管理が為されるとはちょっと思いづらい。そう考えると、やっぱり疑い例がいるという情報はあってもいいとは思いますが、居住地などを報道する意味合いは薄い気がしますね。

どちらかというと、こっちの診療拒否の問題も危機(リスク)に対する過剰反応であって、これも危機管理とは云いがたいでしょう(自分たちのリスクはちゃんと軽減していますが)。その代わりに、自分たちの使命を放棄しているわけですから、「車をなくしてしまえば交通事故は起こらない」方式ですよね。厚生労働省の「疑い例は漏らさず発表」も、どちらかと云えば、リスクに対する過剰反応ではないかと感じます。ちゃんと少ない人員でがんばって検疫とかしているわけで、疑い例を発表しなかったからといって情報を秘匿しているとは……云う人がいるんだろうなあ、きっと。厚生労働省のやり方自体には正直「あなたが落ち着け」と思いますが、現実問題として仕方がないのかもしれません。

しかし、バイオテロリスト扱いされる疑い例患者さんがかわいそうだなと思うだけです。