トンフルの続報(これでタイトルを固定することに決めた)

流行地ではどうやらすでにラボの限界を超えてしまったらしく、検査は重症例に限る、という方向性で診察するようになってきているようです。毒性も季節性インフルに比べて目立って強いということもないようだと認識されており、タミフルの処方も重症例に限るという方向性。流行に関してはGWも終わり、日本もそろそろ覚悟しておいたほうがいいのではないかと思われます。

ちょっとだけ、トンフルが日本に入ってきたときのことを考えてみると……
まずたぶん、どこそこ居住のひとが確定診断例だと情報が流れて、そのあたりの病院がパニックに陥って、いまでも起きている診察拒否が出てきそうです。国内に入ってきたら二次感染の可能性がありますので、もはや海外渡航歴は絶対ではありません。つまり極端な話をすれば、すべての呼吸器+発熱患者の鑑別にH1N1があがる。そうなると、もうそれだけで診察に支障を来すような気がします。呼吸器+熱発患者の診察をせずにすべて指定病院に送ってしまうというのは安全策ですが、いまでも診察拒否だと指摘されているように、これは明らかにやりすぎでしょう。丁寧な問診で可能性を絞るという作業を怠っていますし、患者が蔓延しだしたら、設備がないから診察しませんってのは明らかに通用しない。日本のガイドラインは一カ所に患者を集めるコホーティングが大好きですが、現実問題として、それは余裕があるときの対策なのではないかと思います。ベッドに余裕がなければ、隔離ってのは(物理的に)難しい。

そうなると、入院症例はさすがに指定病院に集めないといけないでしょうが(それこそ設備の問題で)、軽症例は自宅待機でしょう。さらに云えば、発生患者の規模によりますが、軽症例にまでタミフルが回せないかもしれない(量が足りないかも?)。優先的に軽症例は自然軽快を待ち、重症例に投与するという形になります。では、どうやって軽症例と重症例を峻別するのか。念のため、が通用しないときに、いまのありさまをみていると、蔓延初期には相当混乱するのではないかと思います。誰を自宅待機でタミフルなしにするのか、それをどうやってタミフル万歳が頭に染み付いてしまっている患者さんに分からせるのか。タミフルはタイミングが大事ですが、タミフルを飲んだところで、健常人なら病期が一日程度縮まるだけです。それをどうやってわかってもらうのか。そういう組織対応の仕方も重要なんじゃないかと思います。どちらかというと、そっちをマニュアル化しておくといいのかも(組織の方針として)。

どちらにせよ、いまはまだ序の口です。何事もなく乗り切れるといいなとは思いますが、これからどうなっていくことやら、といったところですね……