我が道を行く(私のことではなく)

新任の医師が赴任してきてだいぶ時間が経ちましたが、だんだんと新しいドクターの傾向が見えてきました。とくに危険な香りが漂っているのが外科でして、どうにもキナ臭い火薬臭がぷんぷんします。こいつは問題あるなァとひそかに思っていたドクターがじつはやっぱり問題児で、赴任そうそうにいろんな噂が飛び交っているようです。ここらへんは、看護婦さんのほうが容赦ないですね。院内の噂話……というか評判は、やはり看護婦さんに聞くに限ります。ドクターのみなさんはお気をつけを。

やっぱりというかなんというか、人間性に問題のあるドクターは噂の対象になりやすく、腕に問題のあるドクターよりも辛辣な表現をされることが多いようです。でも腕に問題のあるドクターが話題になるのはよっぽどのことで、しかも比較的研修医が多いうちの病院では仕方がない……というか、腕のいいドクターが話題になることのほうが多いように思います。件のドクターは我が道を行くタイプのようで、自分が決めたとおりにしか診療を行わない、ある意味すこぶる危険なドクターのようです。俺がMRSAだと云ったらこれはMRSAなのだー!ってタイプ。抗生剤を長期連用して効果がないからMRSAに違いないと判断するタイプのようで、熱があるからといって抗生剤を考慮してしまうタイプ。さっそくVCMのTDMを担当している薬局から戸惑いの電話がかかってきました。MRSAの検出がなく、炎症反応もないのにVCMのTDMの依頼があって、しかも長い間投与している患者さん。しかもエビデンスのない(なかったと思う)VCMとアミノグリコシドの併用(腎毒性が増強されるエビデンスはあるぞ?)。VCMの血中濃度は測るが、トラフしか測らない(ピークは必要ないという自論を展開)……etc、etc。患者さんの不利益になりさえしなかったら何をやってもよいのですが、抗生剤が効かないからといって証拠もないのにVCMを投与し始めるのはどうかと思いますねえ。こういうドクターが増えるのは勘弁願いたいものです。もしこれが酵母様真菌だったりしたらどうするつもりなんだろうね?

これは私の短い観察結果なんですが、だいたい人間性に問題のあるドクターは内科的な腕にも問題のあるドクターが多いです。外科的な腕はどうか知りませんが、少なくとも感染管理に問題大アリなドクターは多い傾向にありますし、検査結果の評価の仕方がおかしいドクターも多いです。なんとなく理由はわかる気がしますが、こういう我が道タイプのドクターはもう放っておくしかないというのが、この数年の間でたどり着いた結論だったりするのでした。