結核という病気

マジメに感染症カテゴリで記事を書こうかと思ったんですが、なんだかめんどくさくなっちゃったんでパス。

ハリセンボンの箕輪さんが肺結核で入院ということでニュースになっていましたが、たぶん現時点では「肺結核:疑診」なのかなと思います。まあ、レントゲン(肺に特徴的な影があって疑わしい……?)+CT(特徴的な粒状影が散在していてあやしい……?)+塗抹検査(これはおそらく抗酸菌が陽性のはず)で、3日が初診であれば、抗酸菌塗抹陽性が根拠で入院になっていると推察します。もしかしたら、PCRでTBが出ているかもしれませんが。感染拡大が懸念されるところですが、塗抹陽性ならガフキー号数が知りたいですね。

ガフキー号数は再現性に欠けるところがあり、いまでは感染危険度指数という概念も使用されなくなりました。が、まだまだ目安としてそういう「概念」だけは残っています。ガフキー号数が高ければ単純により遠くまで感染が広がる可能性があると考えられ、それだけ感染が拡大する可能性があります。ライブ会場や芸能関係者の感染が懸念されていますが、通気性のよいハコであれば、舞台から観客へ、というのは、それほど多いことではないように思えますが……これもその距離次第でしょうか。感染しても発病するのは10%程度だとされているため、ライブに行ったことがあるからといっていきなり恐慌状態になって保健所に駆け込むほどのものでもありません。

ちなみに、結核菌特有の症状というものはありません。だから診断が難しいんですが。

BCGは大人の感染予防に対しては、いまいち効果がはっきりとしていません。BCG接種をしたら結核に感染しないというのは間違いですので、注意しましょう。ぶっちゃけ、一度マジもんの結核にかかった人でも別の菌株で再感染はしますよ?高齢だから結核に対する抗体を持っている(=だから大丈夫)とか、ほぼすべて都市伝説の類いです。結核から100%身を守る方法は、物理的に結核菌をシャットアウトするN95マスクくらいじゃないでしょうか。


意外に、「どこから感染したのかわからない」とか、「いまの日本で普通に生活してて感染するなんて」ということを述べているひとが多かったのですが、たいていの場合はどこから感染したのかなんてわからないと思います。わかるはずだと考えるからわからないわけで、わからないのが普通だと考えてしまえばいいのです。保健所的には、それでは困るとなるわけですが……身内に肺結核のひとがいた、とか、衛生的ではないところに長期滞在していた、とか、そういう明確な理由があれば、「結核なんて私には縁が遠い」ことだと思えるんでしょうか。「誰もが突発的に感染しうるただの感染症」で、感染し発症することは「道ばたで犬に噛まれるようなもの」なんですが、理由がないと落ち着かないひとが意外に大勢いるようです。

結核患者は周囲に対する感染性からどうしてもバイオテロリスト扱いされてしまいがちなので、病気に対する正確な知識の普及が望まれます。