後から騒ぐ

ちまたではタミフル耐性インフルエンザがもっぱらの話題ですが、もうこうなることはずっと前からわかっていたはずで、いまさら騒ぐほどの事かなと思います。この事態が予測出来なかった保健行政関係者なんて皆無のはずです。事が起こってから騒ぐのは、もうこれは国民性なのかなと思いますねぇ。

ただでさえ変異速度の速いウィルスなんですから、短期間で耐性化するかもしれないという予測は容易だったと思います。さらに呼吸器官系のウィルスだから、感染速度が馬鹿みたいに早い。広まるきっかけがあったら、あっという間に広がるでしょう。だから新型インフルエンザが警戒されているわけですが、タミフル耐性インフルだって、十分「新型」ですよ(定義からは外れますが)。まあ、だからといってどんな対策が立てられたかと云われれば微妙ですが、これはでも予想の範囲内です。で、厚生労働省は代替薬としてリレンザを使おうとしているみたいですが、どっちみち同じことです。これもわかるはず。いたちごっこで、けっきょく最後には耐性ウィルスだけが残ります。これも細菌といっしょ。

だったらタミフルを使わない、という選択肢はないのでしょうか。タミフルを使わない。リレンザを使わない。抗生剤の適正使用はよく云われるところですが、これも「余計な抗生剤は使わない」というのが基本です。使わなければ、耐性化は最小限に抑えられるはずです。投与はどうしても必要な症例に限らなくてはならない。新型インフルエンザに対して使うつもりがあるのなら、たぶん国ぐるみでちゃんと取り組まなくてはならない問題だったと思います。処方するのは現場の医師だとはいえ、やっぱり何らかの抑制が必要だったんでしょう。

ところでワクチン行政が貧弱なのが我が国の保健行政の大きな特徴なんですが、やっぱりワクチンによる予防が第一だと思います。インフルエンザだけに限らず、どうも予防という概念が弱いように思いますね。これは行政もそうなんですが、国民一人ひとりにそういう意識がないように思います。で、発症してから薬に頼る。しつように抗生剤を要求する患者とか、点滴が風邪の特効薬だと思っているひとだとか、知識のなさがすべてだとは思いませんが、確実に「無知であること」が原因の一角を担っているような気がします。

ま、普通のインフルエンザなら、小児と老人以外は死にやしませんて。タミフルを投与するんであれば、致命率からいって老人を最優先にするべきなんじゃないかなと思います。若者に投与する意義があるのかと云われれば、病期を短縮することに以上にデメリットのほうが大きいと思います。

つくづく、環境問題と同じだなあと思いますねえ、薬剤耐性問題は。