スカイクロラ考・タバコ

たまたま思い出したので、ちょっとだけ。

森博嗣氏の作品でスカイクロラってのがありまして、押井守氏が監督で映画になりました。もう半年くらい前の話ですが、私個人としてはなかなかに面白かったわけです。DVDも買う予定。二回見に行った映画はあまり多くはありませんが、スカイクロラは映画館で二回見ました。久しぶりに大ヒットだったわけです。

で、しょーもないことに、禁煙学会がスカイクロラに出てきた喫煙シーンに文句を付けて、公開質問状とか送っているんですよねぇ。うーん、これは、まさに「空気」が読めない、と云われても仕方がないというか、なんというか……劇中でユーイチが「タバコを吸わない上司は信用出来ない」という趣旨のことを云うわけですが、結局、そういう「タバコはだめだという画一的な反応しか示せない上司は信用出来ない」と云っているんじゃないですか?少なくとも、私はそう思いましたけど……どう受け止めるかは本人次第ですが、喫煙シーンは、この映画にはなくてはならないものだと思いますよ。

「こどもが喫煙する」シーンを放送することで、未成年の喫煙が増加する、と主張するのは、ある意味正しいことかと思います。人間は、とくに若い世代は、憧れを積極的に自分に取り込もうとする傾向がありますから。問題は、それを憧れとして捉えてしまう心性だと思うし、法律で禁じられているにも関わらず、それを実行してしまうモラルのなさでもあります。またちょっとひっくり返してみると、映画という、いわばアーティスティックな作品を「マス・メディア」としてしか見れない、考えられないというのも問題かと思います。それは完全に別の問題ではないでしょうか。

悪影響があるからカットしよう、というのは、ある意味では正しいと思います。ただし、それは対症療法であって、問題の本質ではないでしょう。しないよりマシ、ってところでしょうか。個人的に、そういう理由で作品にケチを付ける行為そのものが、あまり好きではないというだけなのですけどね。筒井康隆氏も、一回断筆しましたっけ。

ちなみに、ハリウッドやヨーロッパでドラマや映画から喫煙シーンをカットする動きがあるからといって、いったい何だというのでしょうか。それこそ、どーでもいいことなどでは?