比較することが必要か?

サーベイランスのお勉強。

この分野を勉強していてすごく疑問に思うのが、「他病院と比較することに意味があるのか?」ということなんですね。なにかっちゃ、海外の病院がどうとか、ウチの感染率は他所と比べて高いとか、そういう話が持ち上がるんですが、他所の病院と比べることに意味があるのかってよく思います。いやいや、一般的にはサーベイランスをしたら一般的なデータと比べるんですよ。でも、他所の病院と比べることで、「適正」を実現するためのサーベイランスになっている側面はあるんじゃないかと思うんですね。

何のためにサーベイランスを行うのか?当然、感染率を下げるためです。でもどの程度だったら適正なのか?感染をゼロにすることは出来ませんので、ある程度感染症が発生することは仕方のないことです。では、どの程度だったら許容出来るのか。それを知りたいがために多病院と比較したり、全国平均を知りたがったりするわけですよね。でも話を聞いていると、「ウチの病院は全国平均より感染率が低い!」=「ああ、よかった」って感じに落ち着いてしまって、それで終わり。他所より高いとあわてて感染対策するんだけど、他所より低かったら「それでいい」という感じになってしまいがちです。それっておかしくないですか?

病院での感染がゼロには決してなりませんが、それに向かって努力することは必要なはずです。サーベイランスの結果を他所と比較することに意味があるのかどうか、私にはよくわかりません。永続的に感染をゼロに近づけるために、客観的な活動指標としてサーベインラスが実施されているのではないのでしょうか。努力し続けるために、その指標としてサーベイランスがあるのでは?適正なラインって何なんでしょうか。他所の病院と比較すると、一般的な病院を実現するための感染対策になりがちな気がします。

まあ、別段文句もないんですけどね……いや、文句たらたらか(笑)。個人的には、他病院と比較することに意味は(あんまり)ないのではないかと感じています。究極の目標があり、その目標に向かって永続的に改善を続けていくのが社会的な活動を行う組織のあるべき姿なのでは?一般的な企業だったら、お金を儲けるということ。病院だったら、患者を治療すること(もしくは患者に満足を与提供すること?)。病院の目標は感染率を低下させることじゃないだろうと、よく思います。