結核について

結核と診断されてから2年たっても菌が消えない国内の患者の少なくとも35%が、薬が効きにくく治療が困難な多剤耐性結核であることが厚生労働省研究班(主任研究者・加藤誠也結核研究所副所長)の調査で明らかになった。5日開かれた厚生科学審議会の部会に報告された。

 患者が勝手に服薬を中断したり、耐性菌かどうかが不明なまま、漫然と治療を続けたことなどが原因とみられる。

 研究班は、2006年時点で、既に2年以上にわたり結核菌の検出が続いていた患者(慢性排菌患者)計465人について、保健所を通じ調査。回答が得られた434人について分析したところ、うち151人(35%)が、リファンピシンなど主要な2つの薬剤が効かない多剤耐性結核だったことが分かった。

 最初から多剤耐性結核菌に感染する患者もいるが、治療を続けるうちに耐性結核の割合が増えていることも分かった。

というわけで。

私も結核になりましたが、私の結核は感受性の菌でした。うちの検査室で扱ったのはほとんど感受性の菌ばかりなので最初から安心していましたが、治療に失敗する例、再発する例のほとんどが耐性菌です。ときどき感受性の菌であるにもかかわらず排菌が止まらないことがありますが、ほとんどの場合は服薬の問題です。培養をせずに治療しようとするドクターもたまにいますね。治療期間の長い結核で感受性が分からないのは致命的なので、必ず培養は実施したほうがいいです。もしEB耐性+INH耐性があったりすると、残りのRFPとPZAの感受性が危険にさらされます。とくにRFP耐性ってのは治療を困難にさせますので、必ず確認するべきでしょう。

ちなみにRFP耐性菌だと、それだけで治療期間が4倍くらいに延びます。治療期間も変わるわけです。検体が取れない場合は、なるべく痛い思いをしてでも検体採取したほうがいいんですけど……勧めたことはないなあ。

ちなみにちなみに、東京都の接触者検診マニュアルには、「感染危険度指数なんて役に立たないよ(=廃止したよ)」と記載されており、感染性を高いか低いかで捉えています。基本的にはそれでいいんじゃないかと思います。ガフキー号数なんて再現性がありませんので、指数自体も不適切になります。でもなあ、とも思うわけです。この前被告人が結核疑いの裁判がありましたが、感染性が低いっていってもマスクはしなくていいの?という疑問がわいてきます。まあ、3回鏡検陰性なら問題ないと思いますが、それが確認できないなら全例マスクかなとも思いますね。必要以上にマスクをする必要はないと思います。鏡検陰性だけど、やたら咳をしている?うーん、マスクかなー、と思います。難しいですね……